徒然あずちょも


 何が書かれているか分からない。
 汚すぎて、というより字が簡略化されすぎていて読めないのだ。卓に置かれていたメモを片手に小豆は唸った。かろうじて読める七の字に七時頃帰るという意味だろうと当たりを付ける。小豆も殊更機械を好む方ではないが、とはいえもういっそ端末で送ってくれた方がどれだけ楽かとは思う。
 山鳥毛は決して字が下手なわけではない。むしろ達筆の部類だ。報告書の作成だって得意で、とにかく文面であれ口頭であれ人に伝えるということが上手い刀だった。
 その刀の伝言がこれ……
 愚痴ると意外そうな顔をされ、大般若には「惚気か兄弟〜」と茶化された。一発チョップしてしまったのは致し方ない。
 しばらく考え、今日は注意しよう、絶対だ、と決めた。以前よりも読める字が増えていることには見ない振りをする。治らなかったらひらがなドリルをやらせてやる。




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