共に歩んだ軌跡に想いをこめて
2025年5月10日、22,000文字。
Stardew Valley、R18、腐向けBL、捏造設定、若い頃のギル×マーロン、プラトニック→両思い挿入なし肉体関係、ディープキス、兜合わせ、ベストエンド。
〜あらすじ〜
とある村で意気投合しコンビを組むこととなった、若かりし日のマーロンとギル。息の合った相棒として信頼を深め、数々の危険な冒険を共に乗り越えるうちに、お互い相棒へ淡い恋心を抱いてゆく——
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スターデューバレーの北東端には、山から流れる滝が生み出す清流が川となり湖へと注ぐ、緑豊かで風光明媚な場所が広がっている。しかし、そこを観光目的で訪れる者はほとんどいない。せいぜい近くに住む生物学者が調査に訪れるか、釣り人が大物を狙いにやって来る程度だ。それもそのはず、この地には鉱山を兼ねた危険なダンジョンが存在するからである。
そのダンジョンのすぐそば——川のせせらぎと鳥のさえずりが響く、静かな森の中に、こぢんまりとした木造のギルドハウスがひっそりと佇んでいる。そこには、かつて名を馳せた二人の冒険者が、ギルドリーダーとその補佐として常駐していた。
銀色が混じる豊かな白髪に隻眼のアイパッチ——片足を引きずりながらも、歴戦の冒険者の風格を漂わせるマーロン。一方、髭をたくわえた好々爺のような風情のギルは、暖炉のそばのロッキングチェアでパイプをふかしながら、うつらうつらと居眠りをしている。
二人は軽口を叩いたり時には悪態をつくこともあったが、それは信頼の証でもあった。言葉を交わさずとも相手を思いやる仕草が自然とにじみ出る、そんな長年連れ添った者だけが持つ独特の雰囲気を醸し出していた。
かつて何十年も前のこと。マーロンとギルは共にコンビを組み、数々の探索を繰り広げていた。彼らの名は冒険者たちの間で広く知られていた。
幾度となく命の危険に晒されながらも、互いの背中を預け合い乗り越えてきた。ダンジョン深部までのルートを切り開き財宝を探り当て、時には絶望的な状況に追い込まれる事もあった。その全てを彼らは生還した。しかし冒険者としての栄光の日々は永遠には続かない。
長い年月を経て、マーロンは片足に不調を抱えるようになり、若い頃のようには動けなくなった。ギルは長年の発掘作業で浴びた鉱毒が徐々に体を蝕み、次第に視界が霞むようになっていった。
今のマーロンとギルの主な仕事は、ダンジョンのそばに建てられた冒険者ギルドの運営と管理である。そして何よりも重要なのは…滅多にないことではあるが、ダンジョンからモンスターが暴れ出ぬよう監視をする事なのだ。
時たま訪れる冷やかしや度胸試しがてらダンジョンに忍び込もうとする不束者を追い払う事もある。このひっそりとした山奥で、谷の住人達に被害が及ばぬよう目を光らせている。
夜になると二人はギルドの片隅で地図を広げ、昔話に花を咲かせながら時折ふと切なげに目を伏せる。指先がなぞるのは、かつて二人で巡ったダンジョンの数々——二人だけが知る記憶が刻まれている。時折二人の指が躊躇うように軽く触れ、そして離れる。
どちらともなく漏れる哀愁のため息と共に、ただ揺れるランプの灯りが古びた地図の上に影を落としていた。
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