6-3 零番迷宮 前編
【途中報告】
From:|一ノ瀬濫觴《世成鳳子》
消えたくない……もう二度と自分を失いたくない……! けどね、現実では誰も本当の私を認めてくれない。そして私は自分の過去を……揺るがない真実を知ってからは、帰り道さえを失くしてまった。
もう現実に私の居場所なんてないんです。だから、ごめんなさい、最上先輩。チェスをしたことがないという私の為に棋譜まで用意して下さったのに……。あれは嘘なんです、実は、それなりに打てるんですよ。
さて私は、ナイトをルークの3に起いてチェックを切ります。これで筋書きから外れました。今度こそ選挙戦は公正なものになりましたね。
ふふ、裏切ってしまってごめんなさい。私、本当はとっても悪い子なんです。皮肉ですね、誰もが否定してきた本当の自分を、この虚構の世界でしかさらけ出せないなんて……。まぁいいわ。えーっと、私は何をすればいいんだっけ……? ……あぁ、そうだわ。一ノ瀬濫觴を演じきるのだわ。
ねぇ最上先輩、見ていて、解決部として私が最後まで役目を全うする瞬間を! だって、解決部はいつだって正しいのだから! そしてその女王である一ノ瀬濫觴が「正義」として、「悪」の私を消し去ってくれるのよ!
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