天鬼成り代わり
~再開
・「 」
天鬼という名もすべて己の罪状だと思っている。
土井半助に対する自他境界線が曖昧になっている。なぜならそれ以外の人としての生を知らないから。本来の己のものでは自我を確立できるほどの経験がないので、盗み見た彼の人生を己の人生と誤認するしか無かった。
・土井先生
入れ替わっていた影響から若干の閉所・暗所恐怖症の傾向がみられる。周囲はドクタケ関連だと思っているが残念ながら違う。また、無意識的にきり丸に触れることが増える。どんなに伸ばしてもすり抜けたこの手が、今度は守るべき子供に触れられる。
・きり丸
やっとの思いで連れ戻した保護者兼先生が最近よく触ってくる。先生が帰ってきてくれて嬉しいが勝っているので正直あんまり気にしてない。
少し様子がおかしかった先生が突然襤褸雑巾みたいな子供を拾ってきた。自分は邪魔だと追い出されてしまうかもしれない、と不安になっている。
⟡side ×
助けて、と願うことすら許されなかった。地獄で息をすること以外、何も知らなかったから。もしも、あの頃の忌み子に知恵を与える存在がいたのならば。きっとあの子をあそこからもっと早く連れ出しただろう。もしかしたら、あっけなくその命を絶つことで解放されようとしたかもしれない。
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