天鬼成り代わり
劇場版開始前・入れ替わり時
・忌子
目が覚めた時に、原作天鬼の記憶、原作から五年前までの土井半助になるまでの抜け忍の人生を眺めていた。「土井半助」の人生は知らない。乳飲み子の頃から崖から落ちて山田家に出会う直前まで。追体験ではなく幽霊のように実体を持たぬまますぐそばにくっついていた。初めこそ何の知識も持たないふわふわした子だったが眺めているうちに知識や知恵を付け精神は年相応以上に育つ。自分の生きてきた境遇を理解するにつれて怒りや憎しみの感情が芽生えているので割と冷酷。優しさが上手く理解できず微妙に欠落している。
・土井半助
少年の人生を余すこと無く見た人。見てしまった人。この世のどこかには必ず存在している深淵のような場所を優しい人が覗いてしまったばっかりに精神すり減らしまくり。すぐ目の前で、手の届く距離にいる子供を救うこともできず声をかけることも許されず苦しんだ。どんなに手を伸ばしても手はすり抜けるばかり。彼の境遇を仕方ないことだと割り切れるほど非道な人ではなかった。
powered by 小説執筆ツール「arei」