泡沫の旅路


⬛︎ 伸ばした手の先(ver.5)

 かの盟友がナドラガンドを解放した事により、竜族やドラゴラムの存在を知った二人は更に研究を続ける。しかしモカの魔力量ではドラゴラムが発動できない事が判明。研究が打ち止めになりかけたその時、胡散臭い魔族の男クラウンが現れる。
 自らをマデサゴーラの親友であり芸術家であると主張するクラウンは、芸術の何たるかを真に理解していない彼女に「願いを叶える鍵は創世の魔力にある」と囁く。それをきっかけにモカは創世の魔力について研究を始めていく。
 シンクは素性の知れない男の言動に不満を抱いていたが、モカの夢を叶える事が最優先だと考え彼女の研究のサポートを続ける。しかしその途中でシンクは大怪我を負い、過去に仲間を失ったトラウマを持つモカは絶望する。
 モカは創世の魔力の力を使えば元の自分には二度と戻れない事を理解しており、それをシンクに告げるかどうか悩んでいた。しかし彼の怪我をきっかけに「自分が存在している事で再び仲間を失ってしまわないか」という不安に押し潰され、全てを捨ててドラゴンになる事を決意する。シンクは怪我で動かない身体を必死に動かしモカを追うが、微かに微笑みながら涙を流した彼女は美しい水竜へと姿を変え大空へ飛び立った。

=== story =================

 女神ルティアナによって生み出された種族のうち、ウェディ族は 「愛の歌をうたう民」と呼ばれている。感受性が他の種族よりも豊か、歌と恋を大切にしている、愛する者を守る為に戦う……そんな話を少年は幼い頃から何度も聞かされていた。
 けれども彼は、そういった感情を理解する事ができないまま育った。生き物には本能的な性質があると言えど、全ての個体がそれに当てはまる訳では無い。彼は自身をそういった個体のうちの一つなのだろうと思い、生きてきたのだ。

 あの日、あの瞬間までは。

 きっとこれが愛と呼ぶべき感情なのだろう、いつか自分の生きる意味へと変わるに違いない……そう思った彼は、彼女に対して抱いた感情を命よりも大切にした。彼女に寄り添い人生を共にする事が叶わなくとも、そうする事で自分は強くなれると心の底から信じた。
 こうして彼は、新たに生まれたこの感情を何と呼ぶべきなのかを理解できなかった……いや、理解しようとしなかった。その結果、少年は何も守る事ができないまま弱い大人へと成長した。

 彼は今も、答えを探し求めて孤独な旅を続けている。

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⬛︎ 旅の果て(ver.6〜)

 水竜が飛び立った後、シンクの元に再びクラウンが現れる。マデサゴーラを心から尊敬していた彼にとって芸術とはヒトの「絶望」と「希望」だった。シンクは大切なものを取り戻す為に、クラウンが提示したヒントを頼りに一人旅を始める。
 シンクが求めるのは「胡蝶の秘術」という魔法。秘術を発動させる為には水竜と戦い動きを止める必要がある為、より強くなる為にパラディンやガーディアンが扱う「大切なものを守る力」を習得していく。それに伴い眼鏡を外して行動する頻度も増えていく。

=== story =================

 水竜は遥か遠い海、荒れ狂う嵐の中で今日も永遠の孤独を唄い続けている。

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その後シンクは無事モカとの再開を果たすが……そこから先のお話は、またの機会に!



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