鳥の子 - Babél
Enkeli, joka kerran syntyi tähän maailmaan, oli ilman siipiä vain tylsä, kaksijalkainen ihmishahmo, joka vaelsi maata pitkin.
Kuumana ja kosteana kesäyönä se tarttui typerän lapsen käteen ja seurasi polkua, joka johti keskelle merta, jota ei ollut olemassa.
かつて現界に生まれた天使は羽を持たず、唯大地を二足で歩くつまらない人型であった。蒸し暑い夏の夜、凡愚な幼子の手を引き、ありもせぬ海の最中へ道を辿っていく。
Tällaista olentoa en pidä omana lajina.
Minä siivoan epäjärjestyksen neljän siipeni voimalla, ja tämä ratkaisu on ehdoton.
斯様な有様を我は同族とは思わぬ。我は掲げた四翼で事を淘げ、この始末を絶対とする。
Tämä ei ole suojelua.Tässä maailmassa ei ole lähettiläitä vain mestari, joka hallitsee.
Herra on jo kaatunut.Siksi tämä on nyt ainoa laki.
即ち庇護とは別物である。現界に使は居らず、在るのは統率者たる師のみ。既に主は潰えた。故に是こそが此度の法則と成る。
その昔、彼の地より天師様が舞い降りなさった。
人の世に蔓延る悪霊に困り果てておった町人らは、天師様を神のごとく仰ぎ奉った。
「どうかこの世を、悪霊の穢れよりお清めくださいませ」
天師様はお応えになり、ただひとつ、御住いとなる高き天守閣の築かれることをお望みなされた。そうして幾多の悪霊は討ち祓われ、世はしばしの安寧を得ることが叶っておった。
だが、人の心というものは得てして浅ましい。いつしか天守閣の実権を欲し、人々は天師様を差し置いて、その上に立とうとした。
それが、天師様のお怒りを買うたのだ。
天師様はその威光をもって人の傲慢を打ちすえ、すぐさま遠く彼方へと飛び去ってしまわれた。
残された人々は、深く悔い、畏れ伏し、再び天師様の御心を得んと、お残りになられた天師様へひとりの幼子を差し出した。
それを見そなわした天師様は、幼子を大層お気に召され、それより後は、天師様自らが選び取る習わしと変わっていった。
天師様は寵愛の天子に四つ翼の下翼を与え、他の一切に自らの名を呼ぶことを禁じた。
今でも天師様の名は、天子――鳥の子以外、決して口にしてはならない。
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