6-4 Ω
「またな、鳳子」
それは、大好きな人から貰った最後の言葉。
「さようなら、風雅くん」
これは、大好き人へ送った最後の言葉。
もう次に会えることは無いかもしれない。私がこれから迷宮でやろうとしていることは、もう二度と現実へは戻れない……即ち自分の存在を消してしまうかも知れないから。
「風雅くん、大好きだよ」
夜空を見上げて、私は一人静かに呟いた。これは最後まで私ですら気付けなかった風雅くんに抱いていた感情。声にしたら、もしかしたら風が運んで届けてくれるかもしれない想い。だけど、届かないで欲しい。きっと風雅くんを困らせてしまうから。
でも。もしも生きて帰ってこれたなら。私に居場所を与えてくれると、願ってもいいですか? そして願いだけを置いて、貴方の与えてくれた|痛み《ピアス》だけを持っていこう。
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