厄介
「もう、二度、三度とオレが帰る気配で泣くわ、喚くわで、ほんま往生したで。あれだけ可愛いと邪険には出来へんし。」
「戻るの遅なるなら連絡くださいとか、今更言いませんけどね。」
四草はおかずの乗った皿を冷蔵庫に仕舞いつけて、外でラーメン食うてきたからメシええで、と言った時のように不機嫌そうにしてる。
いや、言うとるやないか、今。
しかも何やねんそのジト目。
「それはもう謝ったやないか。」
言うてから、コレは言い訳くさいな、と思ったけど、もう言うてしもうたからしょうがあらへん。
お前は何したら機嫌直るねん、と年上の男を眺めていると、ぱっと目が合った。
「で、見せたんですか?」
「何を。」
「何て、コレですけど、」と寄ってきた男がパジャマのズボンのゴムのとこを引っ張って下にズラした。
「おい、四草!」と小声で怒鳴ると澄ました顔をするどころかまだ足りない様子だ。
前はこっちが慌てるとこ見て、そこで溜飲下げてたくせに、なんでまたそないな顔で見てんねん。
ざわざわと背中の毛が逆立った。
四草の不機嫌そうな拗ねた視線は、オレには、これから抱きます、と言わんばかりの性欲交じりの視線と、ほとんど区別がつかない。
ああもう。
「見たいなら、好きに見たらええやろ。」
「……見るだけですか。」
「お前の好きにせえ。」とそこまで言ってやると、「僕以外にはパンツのゴムまでですよ。」と言いながら顔を近づけてきた。
お前はホンマに……赤ん坊より厄介なやっちゃ。
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