プラネテルス・ノード_第一話:ファウスト・インプレッション



テルスには、様々な種族の人間が存在する。
オーガスタのように獣の要素を含む【リュカント】、エンフォーゲルのように鳥の要素を含む【オルニス】、竜や両生類、爬虫類の要素を含む【ディーヴィル】、ミルダのように角のある──魔族である【ディフェル】、そして、何の特徴もない【ヒューム】。
それらがこの文明を築き上げ暮らしている。

私は、そんな星で目覚めた一人の人間だった。
自分が誰かもわからない。何者なのかもわからない。何をしていて、どこで暮らしていたのかも。
気がついたら辺境の村近くの荒地に居た。
最初は変な姿だからと村民に警戒されたが、少し話をするとすんなりと受け入れられて暮らすことになった。
そうして、何日そこで過ごしていたのだろうか。
突然、村を空を飛ぶエビのような半透明の白い魚の群れが襲ってきたのだ。
村民はそれを【|海従《かいじゅう》】と呼んでいた。

曰く、海従はこの星の者にはポピュラーな種らしく素材は建物の外壁などに使われたりもするらしい。
そして、小型のもの数匹程度ならまだ対処のし様があるが、大型のものとなると天災級の力を持つ者もいて、生半可な戦力やこういった防衛設備のない普通の村では滅ぼされるのが常らしい。
そうして、大量の海従に襲われた村は抵抗空しくあっという間に壊滅した。
つい先ほどまで話していた農家の男性。
間借りさせてもらっていた家の夫婦。
遊びや常識を教えてくれた子供たち。
そのすべてが蹂躙され、死ぬか手の施しようのない怪我を負うこととなった。
村もめちゃくちゃになり、建物が倒壊。自分も小型の海従──チックの嘴に貫かれようとしたそのとき。
“彼ら”がやってきたのだ。

それが──国連により設立されたNGO組織“|H.U.N.T《ハント》”だった。

powered by 小説執筆ツール「arei」

42 回読まれています