かくしてバレンタインに花火が打ち上がったとさ
|支払い《QP》を受け取り、上機嫌で箱を抱えたバーソロミューがショップをあとにするのを見送る。
「メカクレ、ねぇ……」
ドアが閉まるのを見てから、そんな独り言をこぼした。
私はこの状態で完璧だから変えるつもりはない。……けれど、ウィッグを作った上にあれだけ熱弁されたらさすがに気になってくるわけで。
……ちょっとくらい、試してみようかな?
カウンターから机に戻り、置いてある鏡を覗き込む。モナ・リザ。その美しい姿が映った。
後ろに結んでいる髪をほどいて、クシで前髪を梳《す》く。いつもと違い、右側へ多めにずらした。
前の私と同じ、青く美しい瞳。それが片方、隠された状態になる。
「……やっぱり、隠すのはもったいないよなあ」
それに、いずれは閉じられる瞳だ。ならば、今この時はできるだけ皆に見せたいじゃないか。
さて、こんな事してないで紅茶でも淹れよう、と立ち上がったところで。
「こんにちは!!」
先ほど去ったばかりの海賊が、満面の笑みで突撃してきた。
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