しずかであたらしいしょうげき


それは、静かであたらしいしょうげきだった。

僕は、手を止めた。

僕がキッチンで食洗機から食器を取り出しているあいだに聞こえたそれは、リビングでテレビを眺めているあの人が発したものだった。

なんの気負いもなしに。
「ああ」と思った。
僕はあの人を直視できなくて、食器を戸棚にしまうふりをして、後ろを向いた。

くずおれそうな心地だった。
やっとのことで声を絞り出す。
「僕があなたの世界を不可逆的に変えたというのなら、それが僕の望みだと、いま、今わかりました。」
声は、震えていたかもしれなかった。

テレビからは南アの標高の高さを紹介する、よどみないナレーションが流れている。

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