ジェローム・シンドローム(高校生譲テツ)
高校生譲テツで短歌連作
ほんのり問答歌、徹郎→譲介→徹郎……の順番
――――――――
夏しぐれ無風になればなるほどにおまえにあれくるう波のこと
ふぶきって作りものだよ赤点のテストがふたりの花道に降る
「きらいだ」と百回なじるその裏でそろそろ千回目になる「すきだ」
恋人や友と言い表すよりはさっき拾ったいいかんじの枝
暴言の手紙をもらい純情をとむらうために三駅歩く
ゲームにはきみの名前のキャラがいて状態異常を恋と呼んでる
何度でもゆるしてやろう、待ちぼうけ、おれに謝るおまえという図
キスだけで機嫌をなおすなこのままじゃ溶けたアイスの中毒になる
見ない 曲がり角しかない世の中で未来でおまえの顔しか見ない
シーソーの片側かばんを積重ね罪重ね微動だにしない夜
墓だってむかしは海原だったのだ眠るおまえも星だったのだ
はしかよりさっさと治ってしまったらどうしてくれる ジェロームのばか
人生はにらめっこだと言い張られ笑顔が見たいと伝えそびれる
校庭の砂、浜の砂、公園の砂、詰め込んでさかさまにして
目薬のひかりの丸のいつだってとつぜん会いたくなるのは深夜
痛いって居たいだからねぼくらってすきだらけだね隙だらけだね
証明としての反抗これからは左右を見ずに渡る、すべてを
あんなにもせんたくが下手だったのであいしていたとはとても言えない
powered by 小説執筆ツール「arei」