いい子、悪い子、かわいい子
「あっ、おい、お前またこんなとこに……。オレは歯固めとちゃうねんど。さっきからなんやヒリヒリすると思ったら、何してくれんねん。」と言われて、布団の中で暴れた兄弟子から蹴りが飛んで来た。
「草若兄さんうまいこと言いますね。僕も乳幼児なんでもっと構ってください。」
そもそも、寝言で「オチコ、お乳やで。」などと言う方が悪いのだ。
この人の口から若狭の名前が出て来るとしたらもっと許せないし、あの子どもにデレているところを見るのも悪くはないと思ってはいるが、それでも、布団の中では心が狭くなるのが男と言うものだ。
「四十男がそない言うてもかわいないんじゃ。」とうそぶく兄弟子にとりすがって、僕は「可愛くなくても甘えさせてくださいよ。」と懇願した。
「お前みたいな悪い子はこうじゃ。」と言って、年下の男は僕の身体に腕を回してぎゅうぎゅうに抱きしめた。
これだけセックスを重ねて来たというのに、なんでこれくらいのことに今も照れているのかは分からないが、僕はその抱擁を甘んじて受け入れ、悪い子らしく、もう一度お願いします、と言いながら彼の身体に触れた。
「……お前なあ、昨日あれだけ好きにしといて、もう大概にせえよ。」と言いながらも彼は僕の手を跳ねのけようとはしない。
なんや幸せやな、と思いながら顔を見ると相手はキスを促すように目を瞑ったので、僕は望まれる通りに続きをすることにした。
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