大剣豪の腕

 視線が、痛ェ。

「ふっは、ふ、ふふふっ……!はっはっはっ!」
「ひーっ!ひっひっひ!はははは!あはははっ!っっげほっごほ!!」
「噎せるまで笑うんじゃねぇよ」

 ◆♢◆♢◆♢

 近くに、島があるらしい。
 その島には明日には着くので、傷んだ食材を片付けてしまおうって行動になるのは、ウチの船でもトラ男の潜水艦でも同じのようだ。
 いつも通り夕飯が作られ、さらに余った食材でいつもなら滅多に作られない酒の肴が作られた。ついでに酒も出すか、と朗らかに言い出したのは誰だったか。
 別に遠足気分なわけじゃない。向かうワノ国にそんな軽い気持ちで居られるわけがない。とは言えど、ずっと緊張状態なんて保っちゃいられない。そんなふうに過ごしてちゃワノ国に着く頃にはヘトヘトだ。だからたまにはいいさ、と。恐らく潜水艦に慣れていないおれ達や、侍共に気を使ったんだろう、考えなくてもわかる。だがそこで、ンな必要ねぇだとか、そう簡単に疲れるかよ、だとか、余計な事言って奴らの気持ちを無下にするなんて出来やしない。あと、酒は飲みたかった。

 いつもなら騒ぐな、やら、程々にしろ、やら、寝ろ、やら、寝ろやら寝ろやら、いやお前が寝ろよと、返してやりたくなるほど隈の酷い男も、珍しく酒の席に居着いた。飲み比べでもすっか?と誘ったが、冷え冷えとした眼差しを返されたのは一時間程前だっただろうか、つれない態度の男に、その気持ちのままをつまらんという一言に乗せて返した時、ウイスキーの入ったグラスを持つ男の手が、ピクリと震えたような気がする。
 どうにも、酒好きと言えばおれの名前が直ぐに上がるらしいが、実はウチの航海士も中々飲むんだぜ、アイツとたまに飲み比べするんだけどよ、いい勝負できるんだ。そう男の仲間と話して笑っていたおれの隣りで叩きつけるようにグラスが置かれた。それから、まだ幾分と飲んでもいないだろうに、周りを睥睨するような座った眼差しで、勝負してやると、言ったのだ。何が気に食わなかったのか、なにかのスイッチのようなものが入ったのか、兎にも角にも男は飲む気となった。ならば、別に止める必要も無い。おれも飲みたいし、それにこの男と飲む時は、いつも二人きりでひっそりとだったから、たまには男のクルーと、おれのクルーと、侍と、つまりはこの男が大勢の前で酒を飲み酔った姿を見たいと思ったのだ。

 おれと二人の時は、飲む量を制限しているのか、顔を赤くする事すら無く、言葉も明瞭で、瞳が揺らぐことも無く、アルコールを己の摩訶不思議能力で取り除いているのでは無いかと疑う程に、酔いというものを知らないかのような男だったから、ならば大勢の前でならばどうだろうかと思ったのだ。もしかしたら、二人きりの時とは違い、まだ見ぬ男の姿を見られるかもしれない。そんな仄かな期待があった。
 果たして、その目論見は成功した。しかし、男の酔いの姿は想像の遥か斜め上だった。

「くっくく、キャ、キャプテン……ッこん、なん、なんのっ……!ぶふっ!」

 例えば、泣き上戸。
 普段から気苦労の絶えぬ男だから、泣き言のひとつやふたつ、あるのではないかと思った。

「はっはっは!こんなん初めて見たっ!」

 または、怒り上戸。
 精神的負担が伸し掛る立場の男だが、同時に自制心も兼ね揃えている。酔いの時ぐらい発露するのではないかと思った。

「キャプテン、楽しそうだね」

 有り得ないが一番期待していたのは、笑い上戸。
 あまり笑うことの少ない男が大口を開けて笑ってくれたのなら、それはそれは目にも心にも残る面白い光景だろうと思った。

 あると言えばそれくらいだろう。どんな姿のトラ男でも面白い事になりそうであると思って、度数の高い酒を並べて、さぁ飲み比べ勝負と参りましょうとばかり、杯を重ね続けたのだ。二人きりの時も酔わぬ男であるから、なるほど、二つ三つとグラスを重ねてもなかなか酔わぬ。しかし片手の数を過ぎ、両手も埋まろうかという頃から、どうにも男の目がゆらぎ始めたのだ。もちろん、おれが酒に酔い視界がぶれた為にそう見えたという訳では無い。男が、アルコールの許容量を超えたのだ。

 そこからが、まぁ面白い。面白かった。どうやら酔い始めると、口数が少なくなるらしく、始まりこそお互いに戯れ言など口にし、また、囃し立てる男のクルー達に言葉を返していたのだが、次第に、ああ、やら、そうか、やらと、一言で終わらすようになってきた。うちはドライなんだ、と宣っていながらもどこか仲間には甘い男が、まるで言葉通りに、つっけんどんな態度にはクルー達から嘆きの声が上がり、そんなやりとりは見ていてなかなか愉快だった。普段から程よい距離感、仲良しに偏り気味の距離感だからこそのやりとりなのだろうと、面白いと思ったのだ。だがすぐに見慣れてしまえばどうも味気なくつまらんと思ってしまう。結局いつも無口な男がより無口になっただけだ。
 泣くと面倒だ。怒るならそれはそれでより厄介。笑うならば酒の場も盛り上がろうと思っていたのに、まさかの無愛想。これは失敗したかと、ついつい退屈さにため息を漏らしてしまった。ともあれ男が酔うとどうなるかは知れたわけなので、ならば後は明日の二日酔いの心配や、または数時間後にはトイレの便器に顔を突っ込ませねばならぬかもしれん、などという心配だけをしていればよいと、思っていた。だが、そんなおれの心配を他所に、男がとうとう、酔時に見せる本当の姿を顕にしたのだ。

「なぁ、トラ男よ……面白いか?面白いつかお前、なぁ、笑われてるぞ」
「うん」

 うん。まるで、幼子のように、うん、とひとつ頷く男。
 恐らくだが、たまにいるのだ、こういうタイプの人間が。酒をある一定量以上飲むとまるでスイッチが切り替わるように突如として態度を一変させる者が。ただの酔っ払いとは違って厄介なのが本当に突然だからだ。この男もそうだろう。そんな素振り一切見せず、それどころかつっけんどんで無愛想だったというのに。


 今やこの男、トラ男は、おれの片腕を抱き込み、おれの手をひたすら、触っていた。


 肩に乗せられた黒髪がユラユラと揺れているのは酔った男の首が、上手くバランスを取れないからだろう。それでも、手を触る力は加減を忘れたかのように時々力強く握り込まれ、指が押し付けられる。
 指を一本一本丁寧になぞり握りしめ、かと思えば手の甲をつつっとなぞり、更にそれにも飽きればひっくり返した手のひら、そこに、文字だろうか、模様だろうか、指先で何かを描くような仕草をした。
 少し擽ったい。ぞわりとした感覚に、片腕を拘束されているという不自由感。まるで玩具の如く弄ばれる己の手に、周りからは笑い声。どうにも居心地が悪く軽く肩を揺すってみた。

「なぁって、止めろよ。邪魔だ」
「うん」

 また、うん。頷くくせに、辞めようとはしない。それどころか、トラ男の方こそまるで邪魔をするなとばかりに強くおれの手を握りこんでくる始末。なんなのか。
 例えば、笑いながら、上機嫌に、表情を明るい色に染めながら触るのならば、おれとて笑って居たかもしれない。なんだ、どうした、えらくお気に入りじゃないか、と。
 または、怒っていてもいい。コイツは医者だ。おれの手に残る無数の傷に、苦言でも呈するつもりで検分しているというのなら、厄介なことこの上ない事は承知でも、まだ、いい。
 だが男は恐ろしく無表情だった。無。いつもの小難しい事を考えているように眉間に皺のひとつでもあれば良いのに、無だ。
 どうにも扱いに困ってしまう。ただされるがままのおれの手をちらりと見て、その手を触る物騒な刺青の入った手を見て、何度目かのため息をついた。

「あっはっは!」

 無表情なトラ男とはまるで正反対に、程よく酒が入りアルコールが回っているらしいクルー達は、言っていたように初めて見るらしいトラ男の姿に大いに笑っている。喉を激しく震わせ、吐く息が気道を詰まらせて噎せていたのに、そんな事も酔いどれ達は気にすることなく、大声で。

「なぁに?キャプテーン、ロロノアのおててお気に入り?大事に抱え込んじゃってさぁ!」

 サングラスと海洋生物の形をした帽子、ギザギザに尖って見える歯が特徴的な男が、力が入らないのかテーブルにだらりと体を預けながら笑う。手に持ったグラスが傾き中に入っている酒が零れそうになっているのを、ペンギンのマスコットを帽子に乗せた男が隣からかっさらっていった。

「ねぇ、キャプテーンってばー」
「うぁ?……ふふっ」

 あ。
 笑った。

 トラ男の頭はおれの肩に乗せられているものだから、笑ったなと分かるのは小さく漏らされた声と、振動によるものだけだが、正面に座っていたシャチは直視したようだ。きょとりと、酒を奪われたことにすら気づいていないらしいのに、トラ男の笑みだけはしっかりと目に焼き付けたらしく、焼き付けた上でまるで信じられないものでも見たというように、きょとりとした。

「ふ、ふふっ」

 遅効性の笑い上戸だったのか。手を弄るのを止めないトラ男は、またへらっと笑ったらしく、そして体を密着させてきて、さらにギュゥッと腕を上げ抱き込んできた。

「この腕はな、おれのなんだ」
「……ああ?」

 今なんと、言ったのか。小声すぎてよく聞き取れず、隣に居るおれですらそんなもんだから、シャチ達男のクルーは余計にだろう。同じタイミングで首を傾げてみせれば、しょうがないなとばかりに、トラ男がもう一度言った。

「この腕、おれの」
「いやおれのだろ」

 大事に大事に、抱え込んでくれてしまっているが、おれはおれの腕をこの男にくれてやった記憶なんてのは有りはしなく、つまりはこの腕が男のものであるはずもない。突如として腕の所有権を奪われそうになったのを良しとするおれでもないため、いい加減にしろと、再び体を揺すって男を突き放そうとしたのだが、いやいやをするように、力が込められた。非難するように顔を上げてきたトラ男が、酒気を帯びた息を吐く。

「ぞろや、邪魔をするな、おれは今、大事にしているところなんだ」
「お前がする必要は無いっての、いい加減返せ」
「おれのだ」

 だから、違うというのに。
 全く話を聞かない酔いの回ったハートの海賊団の船長様。酔っ払いにこれ以上話を繰り返した所で、終着点なんぞ見えるはずもないので、もう良いと、おれは放置を決め込むこととした。少々動きにくいし、視線が痛くて仕方ないのだが、構うものか。それに、酒は片手でも飲めるのだ。諦めて酒の味を楽しんでいた方が良いだろうと、体から力を抜いて好きにさせれば、トラ男は満足したのか、また肩に頭を乗せて手をいじいじと触る。

「あっははははは!!」

 途端に、先程まで静まっていたクルー達が笑い声を上げ始めた。グラスに口をつけながらジト目で見てやれば、そんなおれですら笑いを引き起こすタネとなるのか、とうとうテーブルに突っ伏してバンバンと叩き始めたシャチ。がちゃがちゃと食器達が突然の暴挙に非難轟々の悲鳴を上げるが、お構い無しだ。

「ロロノア!もういっそあげちゃえば?」
「とんでもねぇ事言い始めやがる、水飲めペンギン野郎」

 シャチから奪い取った酒を空にして、中身のなくなったグラスに新たな酒を注ぎ始めるペンギンへ、水の入ったピッチャーを顎で指し示すけれども、見ようともしないで代わりに、やはり酒へと口を付ける。

「だって、大事にしてくれるってよ?」
「大事にするのは結構だがな、生憎とその役目はおれひとりで十分だ」

 己の身ひとつ、腕ひとつ。大事に出来ないおれではないのだと、強く言い放ったところで、ただ触られ握りしめられるだけだった手に、違和感。
 ジロリと、見るのももうウンザリする手に仕方なく目を向けてみれば、トラ男が手のひら同士を重ね合わせているところであった。手のひらの皺と皺、合わせて、なんだったか。おれにとって、あまり良い印象を持たない言葉が浮かびそうになったところで、今度は指が一本ずつ折り曲げられていく。丁寧に、トラ男の指と、おれの指。交互に一本ずつ折り曲げられていく。親指から、小指まで、全てを折り曲げれば握り合わせられる形となった。流石に思わず、げんなりとする。

「おい、トラ──」
「この腕はな、だいけんごうにな、なる、男の腕だったんだがな、おれがもらうんだ」
「……」
「大事になんかな、しやがらねぇからな、おれがな、大事に、するんだ」

 不明瞭で、拙く、恐ろしくのんびりとした口調。酔った人間の共通とも言える支離滅裂さでもって、トラ男はゆすりゆすりと、握り合わされた手を揺する。

「なんでそんな大事にしたがるんだよ」

 大事にするだなんて、なぜ、お前がそんなことを言うのか。
 問いかけたのは出来心だ。どうせ相手は自分が何を口走っているのか自覚もない酔っぱらいであるのだから、応えにはたいして期待も持たない。
 大剣豪の腕、なるほど、価値はあるだろう。まさかこの男がおれの野望を口にしてあまつさえ大剣豪となる事が決定しているかのような、なる事を確信しているような口振りで話すとは思っていなかったから、ただそんな意外さで問いかけただけだった。
 トラ男はギュッと握りしめた手をユルユル振って、おれを見た。

「大事なんだから、大事にしたいだろう」

──おい、なんだそのハッキリとした口調は、先程までの酔っ払い特有の不明瞭さはどこにやった。

「おれのだから、大事にするんだろう」

──お前にやったつもりはないと、する必要はないと言っているだろう。

「どうせお前は大事になんかしやがらねぇからな、おれが、大事にしてやるんだ。いざとなりゃ、お前、あれだ、どうせ大事になんかしないからな、どうせ他にやったりするんだ」

──しねぇよ、おれのだぞ。

「どうせな、大事にしたいと思っているやつの事なんかな、知らねぇふりしてな、投げるんだ、どっかに、腕も、体も、命も、全部……戦い方をな、見てりゃわかるんだ」

 また、ユルユルと、手を振る。そして、言葉もまたにわかに怪しい口調へと戻り始めて、おれから目を離したトラ男は肩へと頭を預けてきた。

「お前はどっかに、やっちまう。テメェの悔いのないやり方でどっかにやっちまうんだよ。でもそんなの、許さねぇ。お前一人、大事にしたいやつが居るってのに、お前自身が大事にしやがらねぇ。他を優先しちまうんだ、お前は。自分で、うん、大丈夫にな、する、て言っても、いざとなりゃ投げ捨てちまうからな、だから、おれが大事にする」

 何度も何度も、大事にするんだと宣い、そうする事が当たり前なんだとでも言うようにして満足そうに言葉を続ける。

「ずっとだ、夢を掴む手もな、仲間を護る腕もな、ずっとな……だいじ、に……してやる、からな、うで……」
「……」

 酷く満足そうに、腕を抱き込んで、そんな姿を見ているうちにトラ男といえば言葉尻が緩やかに溶けていく。次第に肩にかかる重みが増していき、ああ、寝るのかと思った。
 徐々に重くなる肩、力が抜けてただ座ることも難しくなっていく男の体が後ろへと仰け反りそうになるのを、咄嗟に酒を置いた手で支える。なんとか、自分の体に預けるように傾けさせてやれば、少しだけ荒い息遣いの寝息が聞こえ始めた。

「あ、あれー?きゃぷてーん?」
「寝たぞ、コイツ」

 言うだけ言って満足して、そして寝てしまったトラ男は、そのくせ手に込められた力は抜けずにどうにも奪い返せない。いや、今腕を引き抜いたらトラ男の体は後ろに倒れるか、前のテーブルに突っ伏すかのどちらかになるだろう。どちらも、構いやしないが、構いやしないのだが。

「大事に、ねェ」

 大事にすると、言われた手前どうにも雑に扱うのもはばかられ、結局このままの体勢で居てやるしかない。
 グースカ寝いる男を傍らに、テーブルに置いた酒を再び手に取り口に運ぼうとして空である事に気付く。酒はまだ残っていたかと酒瓶を探し目をうろつかせていると正面から伸びてきた手が空のグラスに酒を注いで来た。

「お、悪ィな」
「いいってことよ」

 海洋生物の帽子を被ったサングラスの男もどうやら寝てしまっているらしい、酒を注いで来たペンギンは思いのほか酒に強いのか、それともどんな空気にも流されずしっかりと自制心を保たせていたのか、酔いはしているようだが、理性的だった。理性的に、酒を傾け頬杖を着く。

「大事なんだってさ」
「ああ、らしいな」
「キャプテンがさ、おれら以外の、外のやつのこと、大事にするの、初めてなんだよ」

 へぇ、そうかい。
 傍らの、アルコールのせいで上がった体温を熱いくらいに感じながら頷く。

「あげちゃえば?腕」

 性懲りも無くおれの腕の所有権を酔っ払いに譲渡しろなどと言ってくるトラ男のクルーには笑いしか起きない。
 クックッと喉の奥で起こる笑いをなんとか飲み込んで、おれはペンギンを見た。

「あのなぁ、おれの腕はおれのだし、誰かにやるつもりはねぇんだよ」
「大事にしてくれるよ?」
「腕を?馬鹿馬鹿しい。話にならねぇ」
「そう?」
「そうだろ」

 そもそも、とおれはニッと笑って、ペンギンと同じように頬杖をついた。

「腕だけ、だなんて、しかも酔わねぇと言わねぇなんて。そんな腑抜けたヤツにやるつもりはねぇよ。こいつも言ったがな、大剣豪になる男だ、おれは」


「大事にされるような男であるつもりはねぇが、してぇって言うなら、腕だけじゃねぇはずだろ?欲しがれよ、おれという男の全部。そしたら、くれてやってもいいぜ」


 そう思うくらいに、おれは既にコイツを大事に想っている。少なくとも、肩を貸して支えてやるくらいには。

「うわぁ……それ、キャプテンに言ってやりなよ」
「シラフで、なにを大事にしてぇか、何を欲しいのか、コイツがちゃんと言えたらな」
「うーん、道のりは遠いなぁ」

 遠くとも言ってもらわねば困る。おれから言っていいが、ああも煩く大事だ大事だと言い放ったのだ。ならばコイツから言ってもらわねば。
 おれ達の時間は有限だ。あと、数日とあるかわからないのだ。

「さっさとしねぇと、本当におれは消えちまうぜ?」

 眠るトラ男に言えば、ムズがるように擦り寄ってきた。
 聞こえてねぇくせに、握り合う手に力を込めて。



「ロロノア、小悪魔だな」
「やめろ」




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