5/13 17:30

 ──くん、……めるくん、HiMERUくん!

 よかったあ〜やっとこっち見た! 何回呼んでも反応ないんだもん、僕のこと見えなくなっちゃったのかと思ったっすよ。僕も普通に落ち込むんで、無視とかやめてね? はいコーヒー。どういたしまして、食器下げますね。どぉ、美味しかった? ……うん、よかった!
 HiMERUくんはこんな時間にランチっすか? ……え、僕? 僕は次で四食目っす。朝食、昼食、おやつ、夕食、夜食。一日五食は絶対っすね♪

 そういえば、ちょっと前まで燐音くんが……わっびっくりした。急に立つとコーヒー零れるっすよ。うん、HiMERUくんが来る十分前くらいに出てったっす。
 んぃ? 別にいつも通り……あ〜うそうそ、なんか変だった。冷たい烏龍茶に角砂糖三十個くらい入れてた。慌てて止めたっすよ。それでね、様子見で辛〜いパスタ出してみたんすけど、「美味しい」とか言いながら普通に食べてて。あれゆうたくんクラスじゃないと完食できないやつっすからね? 元から良心もリンリカン? もぶっ壊れたひとでしたけど、味覚まで壊れちゃったらさすがに可哀想っす。

 ……今まで燐音くんにあげたもの、っすか? 見ての通り奪われてばっかりの人生っすよ、なっはは〜。
 う〜ん。一番喜んでたのは、僕がうっかり財布置いて出かけた時じゃないっすかねえ。どこをどう見たらプレゼントに見えるんすかね。
 ……まあでも、本当に嬉しそうな顔する時は、もらったファンレター読んでる時かも。あの極悪人と同一人物とは思えない顔でふわ〜んって笑うんすよ。僕がどんなに美味しい料理をご馳走したって、あの表情は引き出せない。料理人としては悔しいっすけど、比べるもんじゃないんでしょうね。たぶんきっと、ファンからもらったものは特別っすから。
 ああそう、手紙の返事書いてる時のHiMERUくん、おんなじ顔してるっすよ。そっくりっす。僕にはわかんないっすけど、そんなにいいもんなんすか?
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