僕らの紡ぐ物語

【概要】
 ある日、世界中の物語から黒い感情が溢れだした。それらは瞬く間に数々の物語を食い荒らし、現実世界へも影響を及ぼし始める。人々はそれを【浸食者】と呼んだ。
 しかしそれと同時に、物語の中の登場人物である【演者】と読み手である【読者】。そして物語を紡ぐ【筆者】に不思議な力が芽生える。
 思いには思いを。僕たちの世界を、誰かの残した愛おしい物語たちを守るために僕たちは闘う道を選んだ。もっとも全員が同じ思惑ではないのだが……

【演者】
 物語の中の登場人物を指します。歴史に残る大英雄、古代神話の神々から絵本の中の女の子、推理小説の犯人だったり、SFの中の宇宙人だったり、主人公の通うパン屋おっちゃんだったり。彼らは【読者】に理解、共感、興味を示してもらうことで現実世界に召喚されます。召喚された人物は身体のどこかに契約印が浮かんでいます。
 【侵食者】へ攻撃できる者達で、死亡すると強制的に契約が解除されます。そして登場した物語の一部が浸食され、力を失っていきます。浸食されるといつか【浸食者】になったり、自らの境遇に絶望して凶行に走るようになるでしょう。
 Aの物語に登場するAという人物が、現実世界に同時に存在することはできません。Aの物語のAとBという人物が同時に存在することはできます。そして【読者】の解釈により【演者】の性格が若干変わることもあるようです。
 また、【読者】から理解を深めてもらうことで力が強くなっていくようです。逆に【読者】が【演者】への興味関心を失ってしまうと次第に力は弱まるでしょう

【読者】
 文字通り物語を読む者で、現実世界に生きる人々を指します。例外もあるかもしれません。
 【演者】を召喚することで【浸食者】とも戦えるようになります。契約すると体のどこかに契約印が浮かび、解除すると消失します。【読者】は基本的に一回に一体しか【演者】を召喚できません。しかし物語を読めば読むほどさまざまな【演者】と契約できるでしょう。
 【侵食者】の攻撃で死亡することはありませんが、心を闇に支配されてしまうでしょう。他の人々に危害を加えたり、あるいは自ら命を絶ったり。もしくは黒い感情に動かされて浸食者を生む【筆者】になってしまうかもしれません。
 しかし【読者】は人々の心を動かす新たな物語を紡ぐ【筆者】になることもできます。そして【読者】がいつか誰かの心に残る【演者】になることもあるのかもしれませんね。

【筆者】
 物語を紡ぐことができる人物です。小説、漫画、あるいは絵だったり。彼らは自らの血を使ったインクで作品を書くことで本を生み出すことができます。長く人々に愛された物語は血がなくても【演者】を生み出せますが、まだ人々にあまり知られていない物語は【筆者】の血を通して強い思いに呼応し、【演者】を生み出せるようです。筆者は自分の書いた物語の【演者】を呼ぶことができます。
 しかし、血を使ったからと言って全ての本が【演者】を産めるわけではありません。【筆者】が【演者】に思いを注がない限り、その本は不完全なものとなるでしょう。
 彼らは人々の希望を生む傍ら、【侵食者】を生むものとして世間から白い目で見られることも多いです。絶望し、いっそこんな世界を消してしまいたいと思うかもしれません。【筆者】【演者】それぞれに抱く思いも異なるでしょう。あなたの紡ぐ物語は、希望であり、絶望でもあるのです。

【浸食者】
 この正体は未だに明らかになっていません。不定形であったり、何かの形をとっていることもあるようです。人々の負の感情が集まっており、物語を破壊し浸食者を増やすほか、人々の心に巣食うこともでき、深刻な社会現象となっています。浸食者に侵された人々が虐殺事件を起こすことも多く、そういった人物らもまとめて【浸食者】と呼ぶものもいます。











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