お祝いの気持ちだけはあります
□れいちゃんお誕生日おめでとう!!!!!!!!!大好き!!!!!!!!!
□基本的に会話文とゆるさと願望とコメディと欲望にまみれてますすいません!!!!!
■レオくんとサファイア
これはキチィぞ、おい。
アホみたいに盛られたライスに、アホみたいに盛られたサラダに、アホみたいになんか…この芋、えっと、あれだ、日本料理の。ニモノってやつ。これもアホみたいに盛られてる。あとスープもいつもの器じゃなくてなんかめちゃくちゃデカい器になみなみぶち込まれてる。めちゃくちゃ美味そうではあるけどこの量は流石に、流石にさぁ。
「良い匂いがすると思ったらここか」
「神」
「ん?」
思考よりも先に言葉が出た。
それくらい今背後からぬるっと現れたレオは今の俺にとっては神様だ。この目の前にアホみたいに並ぶ料理を一掃してくれる存在なんだから。俺が反射で出た言葉を追求する気は特にない様子のレオは、もう既にその好奇の視線を机上の料理に向けていて、裏切らねぇなぁと思いながら俺は陣取っていたソファに1つ空白を作って指す。
「よし、お食べ」
「いいのか」
「むしろお願いしますぅ」
なら遠慮なく、とカトラリーに手を伸ばして早々に食べ始めたレオの様子にマジで裏切らねェなァ、とつい数秒前に思ったことをまた思い直す。いやー助かった助かった。こんな量絶対食い切れねーもん。てかこいつ、今料理にこそ言及したけど量には何も言わなかったよな?ひえ。
「自分の分はいいのかい」
「俺は甘いもん食うからいーの」
「こんなに美味しいのに、勿体ないねぇ」
「パールにさぁ、飯貰うついでに甘いもん食いてぇって言ったら“米にもお芋さんにも糖質が入ってんねんから食えや!”ってキレられた」
「ああ、だから煮っ転がしなのか」
「ニッコロガシ」
またなんか新しいワードが出て来たぞオイ。ニモノとは何が違うんだ。分かんね。日本食っつーのは難しいったらありゃしねェ。にしても食い方はすげぇ綺麗なのに、ニッコロガシの減る勢いはとてつもないから最早面白いな、これ。いやー、マジで神が来てくれて助かったわ。残しでもしたらまぁたパールぶち切れるから面倒臭ぇし。ありがたやぁ。とはいえ一口も食わないのもなんか流石に、一応作ってくれてんだから悪ィかなぁと思うから、ニッコロガシを1つ指でつまんで口の中に放り込んでみる。んー、まぁ、確かに?美味いし甘いけど?ちげェんだよなァ。芋じゃん。
「あー、ケーキ食いてェ」
「いつも食べてるじゃないか」
「な、最近できたダイナーあんだけどさ、ケーキめっちゃ美味いんだって。付き合えよ」
「いいけど、これは御馳走になれるってことでいいのかな?」
「オ兄サンハソノツモリダケド、一応財布モッテキテネ」
「ははっ」
■槇くんと焔羅
「わざわざ来てもらってすまなかったね」
「あれ絶対お前だけでもどうにかなっただろ」
「いやぁ。どうかなぁ」
「ったく、都合良く使いやがってよ」
憎らし気に言葉を投げ掛けながら焔羅は蕎麦を啜っていると、隣で天ぷら蕎麦を啜る槇の器から小ぶりの海老を1つつまんで自身の器に移した。雑に横取りした訳だが、槇は特に気にする素振りもなくかぼちゃの天ぷらを口内に放り込む。
2人は槇の依頼で森に突然現れた大柄な化物の死骸を撤去した帰り。腹がへったと馴染みの蕎麦屋に立ち寄っている訳だが、曲りなりにも“クニ”を構成する組織の頭と大将が並んで蕎麦を啜る光景に、偶然居合わせた他の民は少し遠巻きにその姿を見守っていた。
「ん、このかぼちゃ美味しい」
「おら」
「ありがとう」
自身の器からかぼちゃの天ぷらを放り込む焔羅の様子を眺めていた店員が、“海老もかぼちゃも追加持ってきましょうか”と声を掛けてくるが、焔羅が大丈夫だと制したことで一歩離れる。奥に戻った店員が店主に“あの2人はあんな感じだから気にしなくていい”と穏やかに伝えているのを聞きながら、性格や立場上聞き耳を立てがちな焔羅は蕎麦を啜った。
「なんか舐められてね」
「そうかな、親しみを感じて貰ってるんじゃないか」
「もうちょい関心持てや」
傍から見れば穏やかな槇のフォローも、全く蕎麦から目線が離れない様子を見ると―否、見なくても適当に返しているだけだと焔羅は分かっているし、反射の感覚で関心を持てと言ってはいるが、実際には焔羅がそれほどそう思っていないことを槇は分かっていた。が、口調のせいか声音のせいか傍から見れば不機嫌そうにも響くそれは、本人たち以上に周囲が少しびくついていた。その空気感に、焔羅は改めて槇と幼少時からの付き合いで良かったと思った。大人になってからでは、きっと周囲の不安通り本当にここで喧嘩を吹っ掛けることになっていただろうから。
「久々に街に来たし、梢の甘味処にも寄って行こうかな」
「やめてやれ」
同行したそれぞれの部下達は、そのエグイとも言える悲惨な死骸の光景に食事の同行を辞退したことを、一応記しておく。
■愛ちゃんと紅
「ただいま……」
「……あ、おかえりー」
夜勤明け、今日は特に多忙だったと重い身体を引き摺ってマンションに帰って来た愛は、共有スペースに辿り着いて無意識に呟いていた帰宅の言葉に反応があったことに目を瞬かせる。馴染みのあるそれよりだいぶガサついていて地を這うようなそれだが、間違えようもない。出所であるソファを背後から見ると一見誰も見当たらないが、よく見れば爪先が肘掛けから零れていた。
「……紅ってば死んでるね?」
「あはー、愛も中々よ?」
ソファにぐてんと身体を伸ばしていた紅は、回り込んで自身を見下ろす愛の目の下にくっきりと刻まれた隈に思わず苦笑を浮かべながら身体を起こす。それにより空いた空間に愛は腰を下ろすと、“うあー”と脱力を隠さない声音で思い切りソファに背中を預けた。
「今日は忙しかったみたいだね?」
「何故かコールがめちゃくちゃ多くてぇ……」
「そりゃお疲れさまだねぇ」
「紅は締め切り?」
「乗り越えましたぁ」
乗り越えた、と言う割に机上に置いてあるのはコーヒーであることに愛は紅の頭のバグ具合を察する。くてん、と背もたれに首を乗せ上を見上げる紅も、愛と負けず劣らずの隈を作っていて。終わったら寝れば良いのに、と思う反面、変に頭が冴えちゃってるのかなと察するのも容易だった。そしてそれは、疲れ切っているのに紅と談笑に講じている自分にも言えたことで。しかしもうソファの座り心地がいつもの数倍は心地良くて、鉛のように重い身体が動ける気がしないのも愛の本音だ。2人して宙を眺めている様子を誰かが通りかかれば、きっと部屋に戻って早く寝ろと声を投げ掛けてくれるのだろうが――、バーが閉まってからはだいぶ経ち、周囲が完全に明るくなるにはまだまだ掛かる今の時間帯に通りすがる影は無かった。なので。
「……ねぇ愛ぁ、」
「なにぃ?」
「朝風呂いかない?」
「あさぶろ」
「あのほら、駅からちょっと奥にあるスーパー銭湯」
2人はそれぞれがしっかり職を持つ成人だ。ただ2人は、頭がバグって癒しを称した遊びをしたくなるくらいには、まだ21歳の遊び盛りの女子だった。
「…いっちゃうぅ?」
「はい決まりぃ」
朝から姿も気配も見えないことに不審に思ったマンションの面々が、スーパー銭湯の休憩スペースで爆睡をかます2人を迎えに行くのは数時間後のこと。
powered by 小説執筆ツール「arei」