2023/11/20 14.柚子ショコラ ペテロ
「ホムラ、いろいろ助かったよ。
これで何か美味しいもの作って」
そう言ってペテロが差し出してきたのは『扶桑柚子』だった。先日、ペテロの扶桑での情報収集クエストに使うからとそこそこの評価で、という注文を貰っての大量の肉まんとアンマンを作って渡したのだ。
そちらは既に無事終わったようで、これはそれのお礼らしい。一応材料費はシルで貰ってるし私もスキル上げになるから構わんのだが。まぁ貰えるものは貰いますよ。評価10だと騒ぎになるから評価6程度で、って地味に面倒な作業だったしな。
「実際、天音が変装してきてたし」
「あぁ、右近に差し入れ用か?」
あちらもペテロだと気が付いたようで、何とも渋い顔をしておったそうだが、一応、元気そうで何よりです。
さて、貰った柚子なんだがどうするかな。柚子にはいろいろ使い道がある。薬味、ジャム、コンポート、アイスやシャーベットのフレーバーに、これから寒くなったら風呂に入れてもいい。いつもはゲームを優先するのでシャワーなんだが、寒くなってきたし私もリアルで風呂入るかなぁ。
と考えて、ひとまずこちらでユズ湯。と言うわけで、『庭』で増やそう。自分でもだいぶチート気味なスキルと称号だが、持っているのは使わなければそれこそ宝の持ち腐れだからな。
「あら、いい匂いね」
庭で作業をしていたらクズノハが尻尾を揺らしながらやってきた。扶桑の香りなので懐かしいのかもしれない。ユズ湯に入るか? と言うと、「いいわね」とのことなので、早速やろう。
あとは、雑貨屋に回すように柚子のジャム、コンポート。アイスなんかは夏になってからでいいな。柚子胡椒はお茶漬とペテロが気に入ってたのでそれも用意して……。これで肉を焼いたのをシンが気に入ってたっけ。
「今日のおやつはチョコと柚子のジャムのパウンドケーキだぞ」
「あぁ、先ほど作っていたやつですか。チョコ?」
「今日はホワイトチョコだ」
切り分けた断面図を見てレーノが首をかしげたのに答える。いつものように切り分けて、それぞれに提供。
「ん? なんか今口の中で」
「あぁ、粗塩が入ってるんだ。アクセントになるだろう?」
「えぇ、その分ジャムとチョコレートの甘さが引き立ちますね」
ガラハドが首を傾げたことに思い当たった私が答えると、さっそく二つ目、いや、三つ目を切り分けながらカルがほほ笑ます。突っ込みませんよ。
カミラも気に入ったらしく、ちょっとためらいながらも二切れ目に行ったようだ。今度柚子風味のチーズケーキでも作ろうかな。
そんなことを思いながら私はそっと紅茶に柚子のジャムを落とす。お茶が美味しくて友人たちが笑顔ならば私は言うことなしだ。
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ペテロの饅頭の話はこちら
https://notes.underxheaven.com/preview/a5b54b3c9f7e0a100047931a94c6a887
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