04. アフタヌーンティー 涼しげな午後のお茶会(呪術 一年生トリオ)

※時系列は考えてはいけません(考えてみれば夏って虎杖は地下生活……)


 夏。呪術師のかき入れ時にはまだ少し早いとはいえ全くないわけではない。まして、まだまだひよっこである高専の一年生にとっては質より量とばかりに体力勝負の任務が割り振られることが多い。
 その結果、高専一年生トリオは連日の任務に少々疲れていた。

「アフタヌーンティがやりたい」
「おう」
「そうか」

 目の下に隈を作った釘崎の主張に、虎杖と伏黒は同じような顔で頷いた。勝手にやれとか、店に行けと言う声は出なかった。なぜなら数日前に、半年前から予約していた人気店のアフタヌーンティーが任務でおじゃんになったのを二人は知っていたからだ。その時の彼女の怒りと、その矛先にされた呪霊の末路は推して語るまい。

「アフタヌーンて、あれだろ、三段の皿? に、なんかこう、乗ってる奴」

 どこまでもあやふやな虎杖の言葉に、伏黒がのろのろとスマフォを手に取った。

「本場はともかく、日本で一般的なのはそんな感じだな。一番下がサンドイッチなどの軽食、真ん中がスコーン、一番上がムースとかミニタルトとかマカロンとか?」

 これ以外にあるだろうけど、一番ヒットするのがそんなもんだ。と言う伏黒に釘崎も頷いた。あとは紅茶があれば完璧らしい。

「んじゃ、やろうか、アフタヌーンティ」
「おー」
「そうね」

 のろのろ、のそのそと動き出した三人。もはやなんで、どうして、どうやって、などという疑問はそこに生まれない。やりたいという奴がいるならやればいいじゃない。そんなもんである。もしここに彼らの担任がいれば「若さってやつかなぁ」などといったかもしれないが、その彼もまた連日任務を詰め込まれて不在であった。





「やればできるものね!」
「うぉぉ、すごいな」
「この皿、どこにあったんだ?」

 数時間後、食堂では虎杖、釘崎、伏黒の三人がテーブルを囲んでいた。彼らの中心には、これはまた見事なアフタヌーンセットが置かれている。

「なんか倉庫にあった。卒業生が置いてったらしいぜ」

 カラッと笑う虎杖はこのアフタヌーンティセットの功労者である。というか食べ物はほぼ彼が作ったと言っても過言ではない。釘崎と伏黒がしたのは、彼に言われたとおりに食材を切ってパンで挟んだ程度だろうか。それと紅茶の茶葉とティーセットを用意し、セッティングはした。

「おー、センスいいな! さすが釘崎!」
「ふふん、そうでしょう!」

 映えるってやつ? と、どこから持ってきたのか、テーブルクロスやらランチョンマットなどもセットされたテーブルの上に、虎杖が歓声を上げる。
 誇らしげに胸を張る釘崎に、伏黒も頷く。さてそれはそうとして食べようぜ。と、一通り釘崎が写真を撮った後、それぞれ手にする。

「っていうか、マカロンて作れるのね?」
「おう、調べた! 伏黒の分のムースは甘さ控えめにしといたから」
「サンキュ。うまいなこれ、ジンジャー?」
「はー、器用な奴ねぇ」

 ピンク色のマカロンを手に取った釘崎が感心したように言い、半分に割ったスコーンを口にした伏黒が驚いたように目をみはれば、虎杖がニコニコと笑いながらそれぞれに答えていく。
 動画とクック〇ット様様だよな。という彼に二人は改めて「なんでこいつ呪術師なんかやってるんだろう」と思わずにはいられない。ついでにその原因たる伏黒はひっそりとへこんだ。

「この紅茶、いい奴じゃね?」

 お高い味がする。と、虎杖が言えば、釘崎も確かにとうなずく。用意した伏黒に視線を向ければ、何とかへこみから戻った彼は伊地知に貰ったという。一年生でアフタヌーンティをすると言ったら貰い物を出してくれたらしい。

「え、いいのか?」
「高専に来たものだから問題ねぇってよ」

 ついでに言うと、補助監督はコーヒー党が多いらしくだいぶ余っているとのことだ。

「そうなんだ。それじゃありがたくいただきましょ」

 釘崎の言葉にそれ以上のことは触れずに、三人は紅茶を飲みつつ皿へと手を伸ばしたのだった。
 数時間後、任務を終えた五条が一年生たちの行動を知って盛大にごねるのだが、それはまた別の話である。

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五:僕の教え子が可愛いことしている~~~
  どうしてそれを見れなかったのかな~悠仁のスコーン食べたかったな~~~
伊:ひぃぃ!!!

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