秋の味覚
冷蔵庫開けたら剥いた柿が入っていて、もう一遍戸を開けたら、やっぱり柿があった。
……ごんぎつねの置き土産とはちゃうな。
柿なあ、もうそんな時期かいな。
だいたい、あいつ果物なんか買うてくるような甲斐性あったんか。そう思ったけど、まあないな、と思い直した。
最近はあんまりこんなお裾分けみたいな話聞くこともないけど、草原兄さんとこに稽古に行ってるみたいやから、どっかから貰てきたんかもな。
中から取り出しても消えへんやろ、と冷蔵庫の中の深皿を取り出したら、箸置きくらいの小さな柿が四つ切りにされたものが山盛りになっている。
これ、3つか4つ分くらい剥いてあるんちゃうか。
いつの間にか、食器棚から出してそのままになっている様子の果物籠は、今は空っぽになっとる。オレが寝てる間にちまちまちまちまと、ナイフを使うて、貰った柿を、真剣に剥いとる男の顔を想像したら面白うなって笑えてきた。
これ、オレが全部食うてしもたら、あいつ怒るかな。
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