the still steel down


ある女からソニアへ。あんたが生きてるだけでいい。嘘。




「あんたが生きてるだけでいいって思ってたけど、嘘、全部嘘だよ。あんたが4カ月も音沙汰なしで電話もメールもできないこっちはね、ただ待ってるだけなわけ、わかる?あたしが上司のクソみたいなグロい話を延々聞いたクソみたいな一日の終わりに昨日会ったみたいな顔でドアの前にあんたがいたあたしの気持ちわかる?あんたが無事に顔見せてくれただけでほっとするけどそれ以上に引っ叩きたくなる。あんたの腕によくわかんない切り傷とか痣あると悲しくなるしそれを付けた顔も知らないクソッタレをぶっ殺したくなる。ちくしょう、なんで、あんたはそうまでして何を守ってんだよ。あんたが疲れた顔で笑ってると玄関飛び出して通りで叫び出したくなるしそんな顔させるクソッタレな世界をぶっ壊したくなるんだ。ああもう、なんで、ソニア、あんたが生きてるってわかるだけで安心する、死んでないってだけでいい、あんたがいつ帰ってきてもいいように高い更新料払ってでも住所変える気はないしあんたが気に入りのワインだってビールだってケースで買ってある。馬鹿みたいにホットソースかけたペパロニピザだって黙って一緒に食べてやるから、だから、だから、ソニア、」



頭痛、胸やけ、胃の不快感、その他思い付く限り最悪の目覚め。口の中は粘ついてるし化粧も落とさないまま寝たから顔凄い突っ張ってる。信じられない。間違いない。二日酔いだ。
ソファで寝るもんじゃないってわかってるけど仕方ないじゃないか。意識を失う時って全部どうでもよくなってるし全部諦めてる。そうじゃなきゃこんな事繰り返さない。もう酒は飲まない。神に誓って。

酒臭い息を吐いてのろのろ顔を上げる。頭に石くらったみたいな衝撃。マジで最悪。そして昨日のあたしも史上最大級に最低で最悪。
酒飲んで記憶を失うタイプの人間になりたかった。くそ、やっぱり全部昨日のクソ上司のせいだ。今度会ったらボールペンの先全部潰して渡した時書けないようにしてやる。

「起きた?」

は?何あたしまだ酔ってるわけ?ここにいるはずない人間が見えるんだけど。いつもはメモ残して朝になったらいなくなってるクセに。なんでまだいんの?

「酷い顔だよ。まああんだけ飲んだら当然だけど。悪いと思ったけど勝手にキッチン借りたよ。これ飲める?スープあっためただけだけどさ」

見慣れたマグの中身。これ2缶で5ドルっていう投げ売りしてたスープだ。塩味ばっかりきつくて飲めたもんじゃないけど、ソニアが?ベーコン消し炭にしてたあのソニアが?

「胃に何かいれた方がいい。まだ気持ち悪いなら無理しなくていいけど」
「絶対食べる」

下げられそうになったマグを慌ててひっつかむ。飲めたはずがないスープがとんでもなく輝いて見える。
あんたがあっためたスープなら100万ドルの価値あるよ。
そう呟いたら目を丸くして大口開けて笑った。
きらきらしてる。
自然の光の中で、ブロンドがきらきら輝いてる。

舌が焼けるみたいに熱い。
目の前がぼやける。
ああ、くそ。
神様。
あたしから彼女を取り上げたクソッタレな神様。


この美しい女を、あたしの天使を、どうか、守ってくれ。

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