After Norway

高度3万フィートの空を、鉄の翼をもつ旅客機は夜も休みなく飛び続けている。

結局、細切れにしか眠れなかった。再び耳に届き始めた低いエンジン音を、ウォノは覚め切らない意識のまま聞いた。


しばらくすると機内に着陸前の放送が流れ出し、到着時刻や現地情報を伝えるアナウンスがぼんやりした頭に流れ込んだ。
到着時刻午後7時30分、現地気温3℃、15分後にベルト着用サインが点灯…
情報を頭の中で繰り返し、ウォノはもう一度目を閉じた。

13時間のフライトを経て、ルフトハンザ719便は韓国・仁川国際空港へと降り立った。
ウォノは標識と広告に溢れた、雑多で何もかもが活発な大都市に迎えられた。
雪の果てはすでに遠く、そして、還るべき日常などもうどこにもなかった。

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