2023/10/20 タンドリーチキン
「あぁ、やってしまった」
ここの所忙しく、仕事とゲームに没頭し、食事がおざなりになっていたのは自覚している。ようやく仕事の方が一息をつき、やれやれ少しはまともな料理でも、と思って冷蔵庫を開けて見つけたそれに頭を抱えた。
忙しくなる前に買っていたヨーグルトが未開封で冷蔵庫に鎮座していたのだ。
「賞味期限、昨日……」
久々にやってしまった。と、ため息をつく。賞味期限であって消費期限ではない。と、嘯いても、乳製品はちょっと怖い。と言うわけで、そのまま食べるのではなく料理に使ってしまおう。
ボウルにヨーグルト、塩、カレー粉、パプリカパウダー、それからチューブのにんにくを入れて混ぜる。そこに一口大に切った鶏肉を放り込んでしばし待つ。その間に、雑然としていた部屋の片づけを手早く行う。
ある程度使ったらフライパンで焦げないように焼けば、簡単タンドリーチキンの出来上がりだ。
「うむ、成功だな」
もうちょい味を濃くすれば、菊姫がビールに合わせそうだな。なんて思って、思わず苦笑い。さて、せっかくだし『異世界』でも作ってみるか。
「おいしーでし!」
ゲーム時間で数時間後、予定通り菊姫にタンドリーチキンを振舞っている私です。いや、菊姫だけではなく他のメンツも一緒だけどな。
ちなみにヨーグルトはハルさんのミルクを加工しているのでやたらとこれだけランクが高いのだが、まぁ仕方がない。
「それにしても急にどうしたの?」
「いや、リアルでも作ってな、菊姫が好きそうな味だと思って」
「ビールに合うでし! っかー! うめぇ!!」
「菊姫、素」
「おいしーでし♡」
いつも通りのやり取りをする二人を見ながらバクリと肉を引きちぎったシンが首をかしげる。ちなみに家だと火の通りや味の染み込みを考慮して一口大にしたが、こっちでは一枚肉で作っている。シンにも食べでは十分だ。
「タンドリーチキンて、家でも作れんのか?」
「簡易版でいいなら、ヨーグルトとカレー粉があればできるぞ。今回私はうっかり未開封を賞味期限切れしてしまったのでな」
「珍しいね」
シンの質問に答える私に、お茶漬が驚く。まぁ本当に今回はうっかりだ。
「仕事とゲームにかまけてうっかりした」
「そこでゲームが入るのがホムラらしい。うん、美味しい」
よしよし、ペテロもクリアだな。と、私はレシピを改めて登録。腹ごなしもしたし、これからどこかへ行くか? と言う話になり、迷宮を行くことにした。さて、今日は何が起こるだろうか?
powered by 小説執筆ツール「notes」