あまいあまいわたしたちのひととき

花園きららちゃん2020年お誕生日ss
どちゃくそあまあまきらあこえっち小説です。
18歳未満はご遠慮願います。


******************************

「きらら、その、来週のことですけれど……」
 ちょうど1週間前、そうあこが切り出すと、きららは目をぱちぱちさせてからハッとして、そしてニカッと笑った。
「それって3月30日のこと?」
「ええ。あなた、何か欲しいものはありまして?」
 優しく微笑むあこにきららは待っていましたとばかりに、あこの肩をガシッと掴んだ。
「実はあこちゃんに前からずっとしてほしいなって思ってたことがあるんだ~!!」
 くるんとカールした睫毛に縁取られたまぁるい瞳は、いつになくきららんと強く輝いている。しまった、とあこは思った。きららがこんな表情を見せるとき、大抵あこは骨を折ることになるのだ。
 先日も二人の冠番組の撮影において、きららの思い付きで急遽街頭インタビューをすることになったときは、好奇心に任せてどんどん行ってしまう彼女のブレーキとなり、番組として収集をつけるのが本当に大変だった。
 そんなきららがあこに前からずっとしてほしかったことだなんて、一体なんだろう? 皆目検討もつかないし、ちょっぴり不安だ。
 しかしそうはいっても3月30日なのだ。その日くらいきららの希望通りにさせてやりたいという気持ちはあった。
「仕方ありませんわね。1日だけあなたの言うこと、何でも聞いて差し上げますわ。ただし、わたくしにできる範囲で、ですわよ?」
「やった~♡あこちゃん大好き~っ♡♡」
 あこの肩をつかんでいたその手がそのままぎゅうっと背中に回ってあこを抱き締めてくる。トクンと心臓が跳ねた。
「ちょっ!? 急に抱きつかないでくださる!?」
「え~? いいじゃんきらら達、つきあってるんだしぃ」
「そういう問題じゃありませんわ! シャーッ!」
「もう~! あまのじゃくはメェ~っ! だよ♡」
 お付き合いを始めてもう1年以上も経つ。既にキスだってその先だってしている仲だというのに、相変わらず初々しい反応をみせるあこに、きららは優しくキスを落とすのだった。

 3月30日。
 いよいよ当日になって、あこは朝からそわそわと落ち着かないでいた。というのも、きららがあこに〝してほしいこと〟を、あこは今日まで一切具体的に教えてもらえていなかったからだ。一体彼女が何を考えているのか。たいしたことではないといいですけれど、と思いながら今日のアイカツを終えてレッスン着から着替えていると、カバンの中で緑色のランプが小さく点滅していた。キラキラインの通知だ。相手は思った通りきららだった。
『あこちゃん、レッスンお疲れさま!このあとはオフだよね』
 それだけ。
 普段と何ら変わらないメッセージにやきもきしながら返事を返した。
『そうですけれど』
『それであなた、今日はわたくしに何をしてほしいんですの?』
 思い切って聞いてみる。すると少しの間を置いてから短い返事が返ってきた。
『あのね、きららのケーキ、作ってほしいんだ』
「ケーキ……?」
 はて、とあこは首をかしげた。今日という日とケーキ。それはまったくぴったり似合いのもので、だからこそあこは眉根を寄せた。きららのためにケーキを作るなんて、そんなあまりにもありふれたお祝いの内容を今日まで言い渋っていたのか。些か不可解ながらも、あこは返事を返した。
『ケーキくらいすぐに作って差し上げますわ。もっと早く言ってくださればこっちだって事前に準備しましたのに。食材を揃えませんと……』
『準備なら、きららが全部してるからだいじょうぶ! あこちゃん、いっぱい食べてね♡』
 そして畳み掛けるように、その場所と、早く来ないとメェ~っ!というメッセージ、続けて可愛らしいキャラクターのスタンプが、ポンポンポンと弾むような通知音を立てて送られてきた。
 ケーキを作ってほしいと言いながら、食べさせてね、ではなく食べてね、なのか。まぁ恐らく一緒に食べろということなのだろう、なんて思いながら、あこはその場所へと向かった。

 呼び出された場所はきららとあこのアトリエだった。いつもは主にフワフワドリームのドレス製作や商品開発、ブランド内会議に利用している。ここ数年、フワフワドリームはどんどんブランドラインナップを拡大していき、Wミューズ専用のアトリエが必要になったのだ。
 扉を開けるときららが出迎えて、待っていたと言わんばかりにぎゅっと抱きついてきた。今日の彼女は真っ白なふわふわのニットワンピースを身に付けていて、まるで羊のよう。相変わらずこういうのを着こなすのは上手ですわね、なんて思いながらニット地に包まれた背中を撫でてやるときららははしゃいだ声をあげた。
 今日は特にブランドのスタッフ打合せも入っていないし、部屋の中にはあこときららの二人だけだ。きららはドアの内鍵を閉めると、こっちこっちとあこの手を引いた。中には見慣れないものがあった。いつも会議などで使っている大きな机の上には真っ白なテーブルクロス、それに重ねてパステルピンクの薄いマットが敷かれてある。そしてその前には、キッチンワゴンが1台あって、2段のうち上の段にはクリームの入ったボウルと絞り袋が、下の段には色とりどりのフルーツが盛り付けられた大皿が乗っていた。これがきららの準備した食材なのだろう。しかし、どうして机の上にマットなんかあるのか。
「それじゃあこちゃん、早速ケーキ、作って……♡」
 置かれているクリームのように甘ったるい声できららは言ったが、あこは更に困惑強めた。
「作ってってあなた、キッチンではなくこの部屋で作るんですの? クリームとフルーツはありますけれど、小麦粉や卵やバターはありませんし、泡立て器なんかの調理器具もないですわ……これで何をどうしろと言うんですの?」
 窘めるように言い、ずいっときららに詰め寄ってその瞳を覗き込んでみる。するとラベンダー色の相貌がとろりと潤んで熱を帯びた。
「それは……その、スポンジケーキをつくるとかじゃなくってね、きららのケーキを作るってことで……」
「……? だから、ケーキならもっと材料と調理スペースを……」
 あこの頭にハテナが浮かべば浮かぶほど、きららの方は頬を赤く染めた。熱くなった指先があこの指に絡んでくる。
「〝きららのケーキ〟だから、クリームもフルーツもね、きららのカラダに飾り付けてほしいの」
「にゃああ!?!? あなた、それって……!!」
 そう、〝きららのケーキ〟とはきららのために作るケーキ、ということではなく、イチゴのケーキやチョコレートのケーキといった意味であり、きららがケーキだということで。
「いっぱいかわいくしてね? それできららのこと、全部あこちゃんに食べてほしいの……♡」
 きららは着ていたニットワンピースの、ハート型のボタンを一つずつ外して、ふわりとそれを脱ぎ捨てた。玉のような肌は、下着などつけていない、一糸纏わぬ姿だ。
 きららはそのまま流れるような動きでピンクのマットの上に横たわった。
「あああなた、してほしいことって、こんにゃ、こんにゃ破廉恥にゃ……っ!!」
 あこは頭をボンッと爆発させて、真っ赤になりながらしどろもどろになってしまう。よもやこんなプレイを要求されるとは。恥ずかしすぎてどうしたらいいのか分からずに、生まれたままの姿になったきららからふいと視線を反らした。そんなあこの反応に、きららは哀しそうに目を伏せる。
「あこちゃん、だめかな? こんなことしてほしいって言っちゃうような、はれんちでやらしいきららのこと、嫌いになっちゃった……?」
 うっすらと桃色を帯びた身体を自分で抱き締めながら瞳を潤ませるきららは十分に扇情的だ。
「そ、そんなことは、ありませんけれど……」
 その返答に安心したのか、ふにゃっと笑って、それから薄く口を開いてちろりと赤い舌を覗かせながら言った。
「それじゃあ、あこちゃん、きららのこといっぱい食べてぇ……♡」
 これでもかと甘い色香を放ちながら誘ってくる恋人に、思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「まったく仕方ありませんわね……あなたのしてほしいこと、たっぷりしてあげますわ♡」
 早速キッチンワゴンに置かれている絞り袋を手に取った。一般的な家庭用のものと比べると随分大きなサイズで、中には既にホイップクリームがたっぷりと詰まっている。女の子ひとりを存分に飾り立てようというのだから、確かにこれくらいは必要かと妙に納得しながら、あこはきららの柔肌に丁寧にクリームを絞っていった。
 鎖骨に、肩に、お腹に、太腿に、それから小ぶりな胸と、薄い毛に覆われた女の子の大事な部分にも丁寧にクリーム乗せていく。まるでそれは白い薔薇が咲いていくようだった
。スライスされたフルーツをカラフルに散りばめれば、きららのケーキのできあがりだ。
「……いかがですかしら」
「このイチゴの配置、すっごい可愛いね。さっすがあこちゃん♡」
「ふふっ、自信作でしてよ?」
 満足げに口端をあげるあこに、きららはいよいよ待ちきれなくなってあこの腕にぴとっと触れて言った。
「あこちゃん~早く食べてぇ♡」
 ホイップクリームは既にきららの体温で半分溶けかけていた。それに比例するかのようにラベンダーの瞳も情欲に蕩けそうだ。
「それじゃあ、いただきますわ」
 ちゃんとそうと言ってから、その瞼にちゅっと触れるだけのキスを落とした。たったそれだけできららの身体がびくりと震える。
「あなた、どれだけ興奮していますの? まったく、仕方ない子ですわね……」
 絞り袋にまだ少し残っていたクリームを押し出して指の上に乗せ、きららの唇に触れた。
「ほら、まずあなたが毒味なさいな」
 あこの切れ長の瞳がきらりと艶めく。普段、こちらがからかえばウブに頬を赤らめるあこだったが、こんな風にスイッチが入ったときの格好いい彼女のことも、きららは大好きだった。
「うん……」
 ちゅく、とそのしなやかな指ごと口の中に含んで舌を這わせる。バニラの香りが鼻孔をくすぐり、きららは夢中になってその指先に吸い付いた。甘い唾液が零れ落ちて顎を伝い、首筋にまで至る。あこはそれを舌先で追いかけていく。そうしてクリームに覆われた鎖骨に辿り着いて、ペロリと舐め上げると、きららが「ぁん」と可愛らしい声をあげた。
 あこの口の中に甘い味が広がっていく。鎖骨と鎖骨の間の窪みにちょうどハート形になるように乗せていたイチゴはクリームと一緒に食べると思った通り格別だ。そうして、あこはさっき自身で飾り付けた極上に可愛い恋人をどんどん〝食べて〟いった。
 こんもりとした双丘はもう随分とろけてしまっていて、ほんのりと桜色に上気した乳房がうっすらと顔を出している。
「あら、こんなところにさくらんぼを乗せた覚えはありませんけれど」
「ひゃうぅ♡」
「随分小さなさくらんぼですわね。とっても可愛らしいですわ……♡」
 ツンツンつついてやると、可愛らしい突起が震えて硬くなっていく。ねっとりと舌を這わせるときららはたまらずに腰を揺らした。
「あっ♡あっ♡あああああっ♡♡」
「きららっ、どうですの? 気持ちいんですの?」
「うんっ♡ぁあん♡すっごく、すっごくいいのぉ♡あこちゃん♡あこちゃぁん♡」
 甘いクリームと、みずみずしくて酸味が効いたフルーツ味のキスをたっぷり交わし、また1度きららは体温を上げる。あこの指先がソコに辿り着く頃には、とろけたクリームと愛液でしどろに濡れていた。
「あなた、ココ、すごいことになってますわよ?」
「うん……なんか、いつもより恥ずかしいかも……」
「あらあら、まあまあ。あなたが恥じらうだなんて、珍しいものが見られたものですわね」
 くすくすと悪戯っぽく笑ってやると、きららが切なそうに唇を震わせた。
「もうっ、いじわるしないで、はやくしてよぉ……」
「まったく。せっかちさんですわね」
「あこちゃ……おねがい、はやく食べてぇ♡」
 自らソコを広げて見せるえっちな恋人のお望み通り、はむっと口に含んだ。先程から、もう存分に、食べ過ぎなほど食べている甘ったるいクリーム、そしてとろとろにとろけた濃厚なきららの味が舌先に広がっていく。敏感な突起を責め立てて、同時に膣内を指で掻きまわしてやれば、その身体はビクビクと大きく震えて、急速にのぼりつめていった。
「んぁああっ♡ああああっ♡♡ああああああんんっ♡♡♡♡」
 弓なりに身体をしならせながら、一際高くて甘い声をあげてきららが果てる。数十秒間もの長いオーガズムに打ち震えてから、きららはだらりとピンクのマットの上に体重を預けた。
「あこちゃ……きらら、すっごい、すっごいきもちよかったよぉ……♡」
「それは良かったですわ」
「ね、きららのケーキ、どうだった?」
「どうってそれはその……おいしかったですけれど……」
 言いながらだんだん恥ずかしくなってくる。あこは真っ赤になって、ふいときららに背を向けた。そんな恥ずかしがりやのあまのじゃくな彼女をいとおしそうに見つめながら言う。
「あこちゃん、ありがとう。きららのワガママ、聞いてくれて」
「……改まって何ですの。あなたのワガママなんて今に始まったことじゃありませんもの」
「えへへ♡あこちゃんだいすきっ♡♡」
 ぎゅうっと抱き着くと、あこがひゃっと跳びあがった。
「ちょっとあなた! クリームだらけの身体で抱き着いてこないでくださる!?」
「ええ~? さっきからあこちゃんにもそれなりにクリームついてたじゃん~。もう一緒にベッタベタになろ♡……っていうかあこちゃんさ」
 ひょいっときららはあこの太腿の方に手を差し入れる。
「にゃうぅぅ!?」
「あこちゃんもかなりとろとろ、だよね」
「え、あ……」
 きららは指先でとらえた愛液をぺろりと舐めとった。
「きららもあこちゃんのこと、食べたいな♡だめ……?」
「……っ」
「あこちゃん?」
 更に真っ赤になって押し黙った彼女にずい、と詰め寄れば、少しの逡巡の後、蚊の鳴くような声が返ってきた。
「しかたありませんわね……今日は、とくべつ、ですわよ……」
 嬉しくなって勝手に顔が緩んでいく。
 あいして、あいされて。
 最高の誕生日かも、なんて思いながら今度はきららからあこに、甘いバニラ味のキスをおくるのだった。

END

powered by 小説執筆ツール「notes」

106 回読まれています