14. ハニーレモネード 夏休み(レオ+ホムラ+紅茶屋)
※「紅茶屋」の初出はティ-パーティー(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17314974#3)
詳しく動い出ているのは「30.GINGER&LEMON 魔女のお茶づくり」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22471791#6)になります。
ファストで紅茶の露店を出しているマッドハッターのコスプレをしているプレイヤーとわかっていればOK
「あれですかね?」
「そうなのか、レオ?」
「おう! あれだな!!」
ただいま、私、レオ、それからファストの紅茶屋「Mad Tea-Party」の店主である|紅茶屋《マッドハッター》の三人でセカンから騎獣で数時間の場所にある森に来ている。
それぞれが気配を消して木の陰からうかがう向こうには、まっ黄色な蜂が大きな巣のまえで警戒していた。
「あれが、『レモンビー』ですか」
「だな」
「おう」
紅茶屋の店主のつぶやきに私とレオが肯定を返す。
話の始まりはレオが持ってきた話だった。森のお口にある湖にいるという魚を釣りに行ったレオが、近くの村で変わった蜂の話を仕入れてきたのだ。蜜を集める花によってその蜂蜜の味や香りが変わるのは知っていたが、そこはゲームの世界。この『レモンビー』からドロップする『レモンハニー』はレモンの酸味も強いタイプのハチミツだというのだ。
それで案内してもらっているところだ。あちこち行っているせいで、レオも詳細な場所がわからないのがなぁ。お茶漬とペテロの気の毒そうな視線が背中に突き刺さりました。それで、セカン辺りならさほど敵も強くないしということで、レオの了解を取って紅茶屋を誘ったわけだ。
「【養蜂】スキルはお持ちですか」
「残念ながら持ってないな」
「俺も」
あることは誰も疑ってない。いやまさかこんなタイプの蜂蜜があるとは思っていなかったので、盲点だったというしかない。
ハチミツは料理や甘味にも使えるから、取得を視野に入れるか? いや、これ以上『庭』がカオスになるのは……。いまさら? それはそう。
「で、どうする?」
ワクワクとした様子でレオが言う。第三者がいるせいか、いつもより比較的、心なしか、落ち着いている。
「リアルだと、煙で眠らせてからですよね。私の【調香】で眠り効果のある煙を作りだします」
「それで行こう」
そういうことになりました。紅茶屋の持っている【調合】の特化スキルである【調香】はアロマ、香水、料理などに香り付けができるスキルで、戦闘にも香りでデバフ、バフ効果を漬けられる汎用性の高いものだ。やはり専門スキルは強い。
そんなわけで、紅茶屋が蜂を眠らせている間に蜂蜜を【採取】する。ちなみに『レモンビー』自体のドロップ品も『レモンハニー』と針、羽根、魔石です。レアで『レモンビーのロイヤルゼリー』がドロップするので、寝ている間にサクサク倒す。許せ。
ちなみにサイズはこぶし大なので結構大きいですよ。
「それと、『ハチノコ』がいっぱいですね」
「レオ、これ『餌』にできないか?」
「ん~~~できそうだな!」
いえ、伝統食だとか貴重なたんぱく源だとかいうのはわかっているのですが、ちょっと量がですね……。少し倒しすぎました。
とりあえず、ハチノコはレオに、レオの『レモンハニー』は私と紅茶屋でそれぞれ清算。無事に終わりました。
*
「これが『レモンビー』のハチミツ、『レモンハニー』ですか」
「爽やかな酸味が素晴らしいですね」
「おいしいです」
後日、雑貨屋で『レモンハニー』を使ったレアチーズケーキを作る。レモンの酸味とはまた違ったまろやかな甘さがなかなかです。カルとレーノはもちろん、チーズケーキ好きのイーグルにも高評価でした。
powered by 小説執筆ツール「notes」
61 回読まれています