2023/12/31 わんどろ
年末です。大晦日です。年越しです。と言うわけで、今日の夕飯は蕎麦です。ただし、私が打ったのではなく、扶桑で買ってきたものだ。麺類は色々と好みが分かれるからな。初めから自分で作るより、買った方が面倒がなくていい。
左近に紹介してもらった店なので、味と香りは保証できるぞ。
「昔のゲームだと作ってたじゃねぇか」
「その頃はここまで味や食感が再現されてなかったしな」
「それもそうか」
年越し蕎麦――暖かい蕎麦に大きな海老天を乗せたそれを受け取りながらシンが首をかしげるが、私も答える。
「エビが大きいねぇ」
「レオが採ってきたやつだ」
年越し蕎麦に乗せる海老天にすると言ったら張り切って大きいのを取ってきてくれた。『轟海老』と言うらしいですよ。それを蕎麦屋に持っていって天ぷらにしてもらったのがこちらです。手間賃にいくつか納品もしてきました。
とりあえずクランハウスのリビングで、お茶漬が作った巨大炬燵に入りながらそばをすする。これを食べたらファストの広場でカウントダウンイベントに参加予定。そしてそのまま新年イベントに突入です。
「今年の新年イベントはウサギに関するものだったけど、来年は龍?」
「どんなのになるでしか」
「ドラゴンじゃねぇの?」
「そんなわけないでしょ!」
まぁ龍と言えばドラゴンだな。ナルン|詣《もうで》にでも行くか? 属性的に言えばナルンなんだよな。私。と、思っていると、ペテロから「ナルンのところはやめてあげてw」とメールが来た。ばれてます? いやまぁ、やめろというのなら辞めましょう。なんか私を見るとプルプルするしな。ペテロは闇属性だし、バハムートに挨拶でもするか?
私はナルンでないとするなら、パルティンのところでも行くか。いや、いま彼女はウキウキと島への移住計画をしていますが。
「まぁドラゴンもピンキリらしいし、ザコドラゴンが出てくる可能性はあるだろ」
「使役もできるみたいだし、何かあるかもね」
そう言えば、大規模イベントでイエロードラゴンを仕掛けてきたところもあったな。と思い出しました。ドラゴンの素材はバハムートの強化にも使えるし、パルティンやレーノも眷属になった以上はあれこれ考えないとなぁ。と言うわけで、ドラゴンのイベント大歓迎です。
そんな話をしながら蕎麦を食べ終え、私の魔法でファストに移動する。会場にはすでに大勢のプレイヤーが集まっているようだった。
ロイの姿がちらっと見えた。カウントダウンはここ以外でもやっているので、炎王はバロンかもしれないな。ちなみに食材ルートではもち米がドロップしたので鏡餅を作ってクランハウスにおいてある。正月には雑貨屋でも切り餅を売る予定だ。
「この世界でも餅をノドに詰まらせたりするんだろうか」
「何を突然。さすがにそこまでは……実装されてないよね?」
思わずつぶやいた言葉を聞きとがめたペテロが否定しきれないような顔で言葉を濁す。どうだろうか。そこまで実装されているのだろうか。ガラハド曰く、カルは結構な年齢らしいし、ちょっと気を付けた方がいいか? マーリンは肉体は若いから平気か?
なんてことを考えていると、あと100秒! なんて声がどこからか上がった。それに続くように99、98とカウントダウンの声が上がる。
「さて、今年も一緒に遊んでくれてありがとう。来年もよろしく」
「いきなり改まった。また、同じく」
「以下同文」
「わはははは。楽しかったぜ~」
「来年もよろしくでし」
「だな!」
カウントダウンの声が聞こえる中、それぞれ笑顔であいさつを交わす。
さて、今年も残りわずか。いろいろあった年だった。来年はどんなことが起きるのだろうか。実に、楽しみですね。
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