骨の狭間から

曇り空から急にぱらぱらと雨が降り出して、僕は急いで建物の中へと駆け込んだ。
19世紀に建てられて今もなおその姿を保ち続ける、自然史博物館へと。

ここを指定してきた待ち人とは、すぐに落ち合えた。
全長25 mにも及ぶシロナガスクジラの骨の下で僕らは再会した。

「降られたか」
「はい」
「まあ見てるうちに止むだろうな」
それじゃ、行くか、と言ってあの人は歩き出した。

第3展示室の古生物展示室には、様々な恐竜の骨格標本が並んでいた。
かつて栄華を誇り、そして消えていった生き物たちの、沈黙した骨。
はるか昔に滅んだ生き物の骨の狭間から、僕はあの人の横顔を盗み見る。
ロンドンの曇り空のように、とらえどころのないあの人の横顔を。

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