06. アールグレイ 夕立ち(Zodiac)

「ホムラは? まだログインしてないの?」

 ペテロがログインした時、フレンドリストのホムラの項目が灰色になっていた。あれ? この時間にはログインしていると聞いていたんだけどな? と、思いつつクランハウスに行けば、お茶漬と菊姫が生産をしているところだった。
 レオとシンは灰色なので、すでにログアウトしたか今日は来れないのだろう。

「なんか帰る時に夕立にあたっちゃったみたいで、あったまってからくるってさ」
「あらあら」

 ペテロの問いに、お茶漬がそう答えた。どうやらあと少しというところで振られたようで、雨宿りするよりも家に帰る方を優先させたものの、結構な雨量だったようだ。
 別段、何か約束があったわけでもないのでホムラの話はそこで終わり、ペテロもまた自身のクエストを進めるべく、行動を開始したのだった。




 えらい目にあいました。
 家まであと数分というところで夕立に遭遇。いや、天気がもつかなと思って傘なしで走った私が悪いのだが。ひとまず玄関に荷物をおき、一人暮らしなのをいいことにその場で服も脱いでしまう。

「ぶえっくしょん」

 あー。一気に体が冷えた。そのまま風呂場に駆け込んでシャワー。とりあえず体をあたためて玄関に放置した着替えなんかを片付ける。
 早くゲームにログインしようとおもっていたのに、これじゃ本末転倒ですね。髪の毛の水を気を取りつつ、ポットにお湯があるのを確認して紅茶を淹れて一息つきながらお茶漬にメール。ここでしっかり乾かさないとてきめんに風邪をひきます。
 神を乾かし、紅茶をゆっくり一杯飲み干したら、さて、ログインしますか。




 ログインしたらファストは雨でした。おのれ、タイミングが悪い。部屋を出るとカルが待ち構えていたので軽くあいさつ。タイミングが良すぎるのだが、私の部屋に何か仕掛けてませんよね?
 そんなことを考えつつリビングに入り、カルに紅茶を頼んだ。自分で適当に淹れたものとは比べ物にならない気品のある香りを肺一杯に吸い込んだ。目を閉じると階下からはざわめき、それと窓をたたく雨音。うん、こんな日もいいだろう。

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