2-6
「ただいまあ……」
「はあ、はあ……お邪魔します……」
結局、家に着く頃にはびしょ濡れになっていた。
今日は父も母も仕事で遅くなる日だ。ああだこうだ聞かれてもまあ友人だと紹介すればいいことではあるが、少し気まずい気分になっていただろうのでタイミングに感謝する。
「今タオル持ってくるから、」
と、振り返って伝えようとして、どきりとする。
彼女の制服が濡れて、夏用の薄い生地の向こうが透けて見えていた。中に黒い長袖のインナーを着ているので下着まで透けるようなことはなかったが、インナーも濡れて身体に張り付いて、細いが女の柔らかさを想起させる形がくっきりと浮き出ている。
俺はそのインナーの向こうも知っているから、頭に思い描いてしまう。白い肌も、柔らかい胸も、それを見ている時に味わう、熱い中の感触も。
雨上リラは、途中で言葉を止めた俺を不思議そうに見ている。水も滴る……とはいうが、本当に水に濡れているとなぜだか色っぽく見えるからそういう言葉があるのだろう。長い睫毛の上に小さな雫が乗っていて、あどけなく開いた唇は濡れて艶めいている。そこに自分の唇を触れ合わせたら、さぞ気持ちいいだろう。
彼女は俺の思考を見透かしたように、ふと、眉を下げて笑った。瞬きの合間に雫が睫毛の上を転がって落ちていく。
その雫が床に落ちるより前に、俺は彼女と唇を重ねた。
少し冷たい。俺の方が体温が高いんだろうか。でも舌先でつついて入り込んだ彼女の口の中は、俺と変わらず温かかった。
「ん……ぅ、っふ……」
雨の音がドアに隔てられて遠く聞こえる。くちゅくちゅと舌を擦り合わる音の方が、密やかなのにずっとはっきり耳に残った。
何度か角度を変えて、唇を合わせる。咥内を探って、歯列をなぞって、小さな舌を絡め取る。口の中自体も舌も繁殖に関係ない器官なのに、どうしてこうも気持ちいいんだろうな。
息が上がってきたので口を離し、玄関先に座る。彼女の手と腰を引いて、俺の膝の上に乗るように促すと、おずおずと靴を脱いでそこへ上がった。
「……したい」
「ん……親御さん、いつ帰ってくるの」
「今日は夜まで居ない。そんなにすぐ帰ってきたりしないよ」
「……そう」
向かい合わせに座って、濡れたセーラー服の下、インナーの端から手をそろりと差し入れた。水が染みて肌までしっとりと濡れている。胸元まで捲り上げると、控えめな胸を支えるブラジャーに手をかけた。あ、と吐息が彼女の口から漏れる。
「今日の、水色なんだ。かわいい」
「もう……。いいよ、そういうのは」
少し照れたように顔を逸らすのも可愛い。頬に手を当てて逸らされた顔を戻し、啄むようなキスをする。ブラジャーをずり上げて中の膨らみを柔く揉むと、鼻にかかったような声が零れていく。
「びしょ濡れだから、もう脱いじゃった方がいいよ。してるうちに乾くかも」
「乾きはしないと思うけど……じゃあ下は脱ぐ。待って……」
雨上リラは一度立ち上がり、スカートのホックを外して下ろし、足から抜く。それをそっと床に置き、それからパンツを下ろしていった。
問題は俺の視界である。目の前で彼女のスカートとパンツが順に下ろされ、秘部が露わにになるのを間近で目撃する形となった。なんというか、腰に来る光景だ。案の定その光景だけで緩く勃ち上がってしまい、俺もいそいそとズボンを脱いで放る羽目になった。
再び腰を下ろした雨上リラの白い腹に、兆した俺のものが当たる。濡れた肌に当たっているので、先端が少し冷たい。逆に向こうは充血しつつある芯の熱さを感じているんだろうか。彼女は少し驚いたようにはにかんで、腹に当たったものをそっと撫で上げた。
「まだ濡れてないから、少し解させて。焦らないで、待ってて、ね……」
俺の膝の上で軽く脚を広げて、彼女は自分の股に手を伸ばす。割れ目をなぞって、前側の方を指で優しく掻いていた。
「……そこ気持ちいいの?」
「え? ええと……クリトリス、陰核。男の人のおちんちんと同じとこだよ。習わなかった?」
保健体育で習ったっけ。習ったようなそうでないような。自分についていないものの説明をされてもいまいち頭に入らなかったのかもしれない。
「中に指入れるのが辛いときは、こっちを気持ち良くすると……、っん、少しずつ、濡れてくる、から……」
雨上リラが説明しながら目の前で実演してみせる。細い指が割れ目の上の方に埋まって、くちくちと何かを撫でるように動く。次第に彼女の吐息に悩ましげな甘さが滲んで、指を動かすのに合わせて密やかな水音も聞こえるようになった。指の間から、小さな突起のようなものがいつの間にか見えている。
「もう、見えるかな……これ。女の子は、ここを触られると気持ちいいんだよ。中よりよっぽどね」
二本の指で陰唇を広げて、その間にある突起を俺に見せつける。鮮やかな桃色で、粘液を纏っててらてらと光っていた。俺は思わず唾を飲み込む。女の子の秘密をこっそり見せられている心地になった。心地も何も、本当にそうだとも言えるのだが。
彼女の指は次第に下の方へ伸ばされて、奥に隠された、膣口へと指が入っていく。もううっすらと濡れているのか、埋まっていく指が引っ掛かるような素振りもなかった。
「ふ、ぅ……っ、……も、ちょっと、だから……っ」
彼女は性急に指を動かし、俺を受け入れるための場所を解す。
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>手伝う
「手伝おうか」
その姿を見て、俺は思わず声をかけていた。これから気持ち良くしてもらう側なのに、何もしないで待っているのも申し訳ない。
雨上リラは一旦手を止めて、呼吸を少し整えてから恥ずかしそうに頷いた。
俺は彼女の腰を片手で支え、もう片方の手で秘所をなぞり、指をゆっくりと埋める。
「あ……っ」
「一緒に、挿れるから……好いところ、教えて」
彼女の指と、俺の指が重なる。細い指先が導くのに従って、奥に進んで、膣壁を掻く。指がすっぽりと埋まるところまで案内され、それから彼女の指が曲げられるのに合わせて俺も膣壁を指先で押した。
「ぁ、う、ここ……っ、気持ちい、とこ、だから……お願い……」
彼女にそんな可愛いお願いをされては、聞かないわけがない。俺はとんとんと、柔らかくうねるそこをノックするように押した。
「あっ、ん、うぁ、んぅ……っ」
可愛らしい甘い声と共に、きゅうきゅうと中がうねって指を締め付ける。悦んでいる。
これだけでは飽きるだろうから、他の場所も押したり、円を描くように掻いたり、中を広げるように指を曲げたりして。その度に腰が震えるのが伝わってきて、水音も次第に大きくなる。
俺は彼女の中を拓く行為だけで興奮して、陰茎は大して触ってもいないのに十分に勃起していた。
早く挿れたい気持ちを堪えながら、指を増やして、奥まで解していく。親指で先程教えられた陰核をくりくりと撫でると、声が上がって中がうねり、じゅんと愛液が滲み出てくる。そろそろいいだろう。指を抜くと、粘液が糸を引いた。
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>見守る
彼女が俺のために準備を整えてくれるという事実が、いっそう俺を興奮させて、陰茎が膨らむのを感じる。
彼女もそれに気づいたのか、ふと笑う。いつも思うけど、こうした行為の中で無邪気に八重歯を見せて笑うのは、逆に一層淫らで艶やかなものに見える。
「見せ合いっこ……しよっか」
「え……」
「そっちもいつも一人でしてるみたいに、してみせて」
「…………」
そう言われると、なんとなく恥ずかしい。でもその恥ずかしいことを、俺は彼女にさせているのだ。その罪悪感に押されて、俺も自分のものに手をかけた。
こういうことをするときには優しいものを見て脳を守りましょうなどというが、今日びそんなものを守っている高校生など居ないだろう。俺もSNSで見かけた際どい写真であるとか無料の法的に危なそうな動画をスマホ片手に見ながらするのが以前までの自慰行為だった。雨上リラとセックスしてからは、彼女との行為を想起してするのがほとんどになっている。そもそも自慰行為に頼らないでいいくらいに発散しているので回数自体はぐんと減ったが、時折思い出して余計にむらむらしてしまう日もあったから。
すでに勃ち上がったものを片手に収めて、少しだけ狭く感じるくらいに握り込む。そのまま上下に擦ると、ほどなくして先走りが滲み出てきて、それを塗り付けながら滑りを良くする。
目の前では雨上リラが指を動かしているのが見えるし、かすかな水音も聞こえてくる。あの中が気持ちいいことは、もう何度も確かめた。いつも味わう蕩けるような快楽を想像し、また一段と竿が太くなった。
「は、っ……、.雨上さん……」
「んっ……、うん、もうちょっと、もうすぐ、だから……」
「早く挿れたい、っう、.雨上さん……ッ」
「わかっ、てる……っふ、ぁ……」
俺たちは、互いに互いのものを想像して、求めて、夢中で手を動かしていた。部屋の中に粘ついた水音が満ちて、うるさいはずの雨の音が遠く聞こえる。
「っもう、いいだろ……これ以上は出るから、早く挿れさせて」
「ぅ、ん……っ、は、わかった……」
ちゅぽ、と彼女が指を抜いた場所は蕩け切って、潤っていた。これならもう大丈夫だろう。彼女が指でそこを広げて見せる。
「もう大丈夫……しよ?」
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(>ゴムを着ける)
ポケットの財布から急いでゴムを取り出し、準備万端の自身に被せる。そろそろ補充しないと無くなるな、とぼんやり考えたけど、それを終わった後まで覚えていられるか怪しかった。
準備が整った俺のものを膝立ちになった彼女の入り口に押し当てて、ゆっくりと腰を下ろさせる。
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(>ゴムを着けない)
硬く反り立った芯は、挿れる場所を夢想して今か今かと脈打っていた。彼女はそれを優しく撫でて、自分の入り口に切先を当てる。
そのまま、膝立ちからゆっくりと腰を下ろしていった。
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「っは、んぅ、ぁ、ん……ッ」
十分に解されて、蕩けた膣が期待に満ちた俺のものを迎え入れた。
硬く勃起した熱が食い締められて、雨上リラの喉からほろほろと喘ぎ声が零れる。
重力に従って腰を落とせば、どんどんと中に埋まっていって、ついには根元まですっぽりと包まれてしまった。敏感な場所を全部甘く食まれて、俺はあまりの快楽に喉奥で唸る。
雨でびしょ濡れになった後で寒いはずなのに、今は融けそうなほど熱く感じた。
向かい合って座る形で繋がっているから、胎の中に俺のものを収めてその質量を感じている彼女の顔が間近にある。目を伏せて、堪えるように唇をきゅっと結んで、濡れたままの頬が赤らんでいる。かわいい。キスしたい。するか。
「口開けて……」
「ぁ……、っん、ふ……」
俺が囁いた通りに開いた口を、丸ごと食べてしまうかのようにかぷりと自分の唇で覆ってしまう。舌を入れて、歯列をそそりとなぞってみる。それだけで感じたのか、下の口がひくひくと震えた。やっぱり、かわいい。どんどん舌を絡めて、柔く食んで、自分の腕の中に収まる可憐なものへの飲み込んでしまいたいようなかすかな衝動を発散した。こういうのがキュートアグレッションなのだろうか。いや、違うかもしれない。
「ん……は、……腰、動かすよ」
「うん……、……っ」
柔らかな尻を両手で持ち上げると、ぞろりと襞で竿が掻かれていく。それも気持ちよかったが、そこから重力と勢いをつけて持ち上げた腰を落とすと一気にまた中と擦れて、奥に当たるのが痺れるほど快感だった。
「あっ! ぁ、ぅんっ、やぁ、あ……ッ」
何度も繰り返すと、ぱちゅ、ぱちゅんと粘液と膚の弾ける音が響いていく。彼女の腰を落とすのと、俺が下から突き上げるのを同時にすると更に気持ちいいと気づいて、余計に行為は激しくなっていった。
「はあっ、はっ、気持ちい、これ、ヤバい……ッ」
「うぁッ、おくっ、やぁ、ひぅッ、あ、ぁ……ッ」
零れる彼女の声が、耳に心地いい。顔が間近にあるから吐息まで耳元にかかって、ぞわぞわと背筋が震える心地がした。
奥まで繋がれるから、彼女の腰を押さえつけたまま下から突き上げるのもたまらなかった。奥をぐりぐりと何度も責めると、甘い嬌声と共に中が締まって熱芯を抱き締めるから、また余計に太く充血してしまう。
「ひぁ、また、おっきく……ッ」
「だってッ、そっちが、中締めるから……はぁ、ちょっともう、我慢無理かも」
「え、ぁ……、ッうぁ、あ……ッ!」
一言断ってから、もう遠慮をやめて強く腰を掴み、乱暴に上下させる。かわいらしいものだった水音も、ばちゅん、ぐちゅ、と生々しく激しいものに変わっていった。
何度も腰を持ち上げ、押し付けるように落とすと共に突き上げて奥を虐める。雨上リラの頬を落ちていく雫に、いつの間にか涙も混じっていた。こうして泣いているときの、濡れた昏い瞳がいっそう綺麗で虐めたくなるのだと、いつも思うけれど口には出さなかった。代わりに乱暴なほどに突いて余計に泣かせる。
蕩けているのにきつい中に食まれて、限界が近くなる。彼女の腰を大きく上下させて、隅々まで使って自分のものを扱く。
「はっ、ァ、もう、出るッ、出すぞ……ッ」
「あッ、ぁ、ひぁッ、や、ぁ……ッ」
どちゅ、と一番奥に突き入れて、俺は熱を放った。
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(>ゴムを着けている)
どく、どく、と数回の波に分けて放たれる精液を、薄いゴムが受け止める。この子種を彼女の中に直接注げたら、と何度も思うが、病気を持っているかもしれないのを思うと、やはりどうしても安全を取ってしまうのだった。そうじゃなくても、中出しするよりは彼女の負担も軽いと思うし、と内心で自分に言い訳をしておく。
彼女の中はひくひくと震えて、俺のものを搾り取ろうとするみたいだった。そういうかわいいことをされると、本当に、中に出したくてたまらなくなる。
やがて絶頂の波が過ぎ去れば、名残惜しむように絡みつく中から陰茎を抜き取って、使用済みのゴムから精液が漏れないように口を結んだ。
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(>ゴムを着けていない)
最奥のその先、彼女の子宮の入口に合わせて、子種を注ぐ。ピルは飲んでいる、と言っていたが、それでもやはり、こうして中に注ぐときに本能的に思うのは「孕んでほしい」ということだ。子供が欲しいわけじゃないのにそう思うのは不義理なことだろうと思うが、それでもそんな倫理観より前にある乱暴な欲だった。
「ふぅ、う……っ、……は……出てる……っ」
彼女の中はひくひくと震えて、俺のものを搾り取るようだった。それに押されて、全部奥へ放つ。その波が静まってから、名残惜しむように絡みつく中からようやく陰茎を抜き去れば、白濁が少しだけ中から流れ出てきた。このまま帰らせるわけにはいかないな。
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お互い息が上がって、頬が上気したまま、見つめ合う。俺から最後に触れ合うだけのキスをすれば、彼女はそれでやっと時が動き出したかのように、ゆっくりと俺の膝の上から退いていった。
「……シャワー貸すから。その間に服、乾燥機で乾燥させとく」
「……うん……ありがと」
少し気恥しいような空気の中、俺は側にあった彼女の制服を拾った。
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