2023/11/12 03.アフタヌーンティ 菊姫

「かわいいお茶会がしたいでし!」

 どうやら同じような趣味の友人たちと可愛い内装の部屋で可愛い洋服で可愛いお茶会をしてスクショ大会をしたいらしい。
 てなわけで茶菓子と茶の用意を頼まれました。ポーチに入れておけば冷めないから便利だよな。

「アフタヌーンセットにするか?」
「それもほしいでしが、もう少しどっしりしたものも欲しいでし!」
「どっしり……?」

 可愛いお茶会じゃないのか? と思ったが、それとこれとは話が別らしい。どう別かはわからんかったが、突っ込んでも仕方がないのでまとめて了承した。
 きらきらでかわいいアフタヌーンセットを作り、さてどっしりか……。と思って少し悩んだ後、パウンドケーキを二種類ほど持たせることにした。
 一つはコーヒーとラムレーズン。もう一本はチャイを入れたものだ。紅茶は露店にあるプレイヤーの店で買ったもので、『寒露ダージリン』と『涼風アッサム』をブレンドしたものだそうだ。コクの強いアッサムにダージリンで軽やかさを加えたとかなんとか。ミルクティ向けの紅茶で、濃い赤褐色の水色にミルクが混ざり合って色が変わっていくのはなかなか可愛いんじゃなかろうか? いやわからんが。
 パウンドケーキはコーヒーの香りとラムレーズンの香りが混ざり合って割と男性向けだが中の人もそれぞれだしな。うん。チャイの方はアッサムで入れた濃厚なものをませて焼き上げた。シナモン強めで癖があるが、どっしりが要望だったし。それと普通のなにも入っていないプレーンで甘さ控えめなものと、柿のバター、さつまいもとオレンジのプレザーブ、リンゴのジャムに、金柑のマーマレードをそれぞれ持たせる。好きなのを乗せて食べるがいい。うん、雑貨屋でやるとごっそり一人一瓶使うのがですね……。

「と言うわけで、ほい」
「ありがとうでし!」

 一式をテーブルの上に出し、それを菊姫が自分のポーチに入れていく。一つずつ確認しているのは作成者の銘がホムラになっているかの確認だろう。すいませんね。

「ン、大丈夫でし。改めてありがとうでし。これはお礼でし!」

 そう言って菊姫が渡してきたのは食材だった。小麦と、砂糖が数種類。ついでにどこで手に入れたかも教えてくれたのでありがたい。

「それじゃ、楽しんできてくれ」
「もちろんでし!」

 手を振って【転移】した菊姫を見送り、私もお茶にしようと雑貨屋に転移する。

「ただいま」
「おかえりなさい」

 リビングに姿を見せた私にカルが微笑みを返してくれた。せっかくだしと、菊姫に渡した紅茶と同じ茶葉を入れて、ミルクティを入れてもらおう。茶菓子はプレーンタイプのパウンドケーキ。添えるのはレモンのマーマレードとイチゴのジャムに固めの生クリームにする。黄色と赤、それに生クリームの白が目に鮮やかだ。
 私はレモンのマーマレードだけを、カルはそれぞれをたっぷりとのせて。階下の店の賑わいをBGMに、寒くなり始めた午後の穏やかな時間を過ごしたのだ。

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参考資料
季節の果物でジャムを炊く
https://www.amazon.co.jp/dp/4295203009/

365日のパウンドケーキ
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07Y22Y4NM/

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