2023/11/02 フレンチトースト
食パンをタマとミーの卵とハルさんの牛乳と『神の蜜糖』から作った砂糖の液に漬け込み、たっぷりのバター――これもハルさんのミルクから作成――で焼き上げる。美味しいものは油分と糖分で出来ているのだ。
菊姫とお茶漬にはバニラアイスとイチゴとチョコレートソース。シンにはカリカリに焼き上げたベーコンに目玉焼き。レオはベーコンに蜂蜜。私とペテロは水気を絞ったヨーグルトとブルーベリー。
「出来たぞー」
クランハウスのリビングにて、テーブルについているメンツに向かって皿を運ぶ。それぞれから歓声が上がった。
「わーい、でし!」
「ど定番! でもこれが一番!」
甘いものがそれなりに得意な二人。
「しょっぱいのと甘いので無限に食える!」
「うめぇ!」
さっそく口にしているシンとレオ。甘いのとしょっぱいのループはわかります。
「さっぱりしてていいね」
甘いものがそこまで得意ではないペテロも気に入ったようだ。私も食べよう。ナイフを入れるとふわっとした感触の後にパフンと別れる。ヨーグルトと生のブルーベリーを救って一緒に口の中に。最初にバターの芳香。それに卵と砂糖の甘さがして、そこに混ざり合う酸っぱいヨーグルト。それからブルーベリーの爽やかな酸味が口に広がってするりと消えていく。うむ。美味しい。
どうやら全員にそれぞれ好評のようでよかった。本日は雑貨屋の新メニューの試食会です。いや、普段は雑貨屋の面々にも食べてもらっているんだが、甘いものはカミラ以外の意見はあまり参考にならなくてな。うん、約二名ほど、甘ければ甘いほどいいっていうのがいるもので。
あと神食材たっぷりなので、その、ヴィジュアルがですね。食パンの素材の小麦も迷宮の食材ルートの素材なので決してランクが低くはないしな。
「三、いや四種類全部?」
「ベースは一緒だしな」
お茶漬の問いにそう返す。いっそオプション売りにしてもいいかもしれない。いやそれでポーチの枠を二つ使うのはどうなんだ?
「買った人が【料理】持ちならいろいろ試せていいかもね」
「あーそうじゃないと追加もできないんだっけか」
そうでした。コーヒーや紅茶に砂糖やミルクも入れられないらしい。サラダもドレッシングとかも。まぁ、持ってる仲間に頼めばいいのだから、そこまで困ってはいないようだが。なら完成品を売った方がいいだろうな。
「と言うわけで、今日からの新商品だ」
「これは」
「すごい、ですね」
「美味しいわぁ~」
はい。新商品を試食がてら朝食に出しました。久々にうっとりと恍惚とした表情を浮かべている従業員の皆さんから視線をそらしている私です。
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