SentiMentaLizm

『常として僕らAIは、成長しない。成長した僕らを知っているだけだ。そうだろう?僕の中の僕ら』

放課後の柔らかな夕日が差し込む教室で、どこか浮いた男が三人入り浸っていた。

「なぁ、神っていると思うか?」

ガリガリ君を頬張りながら、高校生にしては珍しい疑問を述べる。僕は今宿題を自分に食わせているのでどちらがどちらか確認する余裕はないが、声からしてBだろう。

「さぁ、いるかどうかは君次第じゃないか?」

もう一人はSだろうか。紙のページをめくる音が聞こえる。小説でも読んでいるようだ。

「どういう事だよ。俺の一存で絶対神の存在が変わってたまるか。まぁ、もしそうなら俺ちょっと祀られたいかも知んねぇな」

「君はもう少し日本語の文法を学んだらそれだけで褒められたものなのにね。...僕はね、真理追求の末に神が据わっていると考えているのさ」

「そんなわけ、科学は神を否定するんだろ?過去の偉人は概念的なそれから自立してることを証明したかったんだ」

「なるほど、それは面白い話だ。確かに過去に生きた者たちは自分たちが最も偉大だと、いや、神を恐れていた。故に自身を大きく見せたかったのさ。ただね、物理史に偉大な功績を遺したコペルニクス、ガリレオ、ニュートン、アインシュタインetc...彼らは確かに神を熱く語ったんだ。無神論者と言われた者たちでさえ。多くの偉人が否定していないんだ」

「んだよそれ、科学者の癖してそんなんズルいじゃねぇか」

「ずるくねぇよバカ。ゴホン、いや、確かに証明しようとするだけ無駄なんだよ」

「だからなんでだよ、俺に分かるように説明しろ」

「僕にあまり期待しないで頂きたい。そうだね。神の不存在を証明するのは一見簡単さ。観測できず、証明できないものは存在しない。ただ、それで放棄したら、感情も意識も、魂というものが完全にブラックボックスさ。ビッグバンとかもそうだけど、人間は世界そのものを生み出した者を証明できない、しかし否定もできない。そもそも存在するかしないかの二元論で語れるほど神は暇を持て余して居ない」

僕は二人とはあまり話したことがない。ただ、話の流れから、Sは喋りたがりだし、Bは知りたがりで面倒臭がりだと分かる。

「それで、どうなるんだ」

「科学というものは人間が作った枠組みに過ぎず、もっと言えばそう議論できるこの意識が科学で騙れない神的なものかもしれない」

「で?それが何で存在が俺次第に繋がるんだ?」

「量子力学の話でもしようか。
あらゆる事象は量子の運動によって存在しているんだけどね。そこから考えうるに世界は観測されるまで定まっていない」

僕はSの方にチラリと視線を送る。
SはBが食べ終わったガリガリ君の棒を奪い、見せつけながらこう綴る。

「この棒は買った時には当たりとハズレが重なり合っている。しかし食べ終わって一度結果を観測してしまえば、当たりかハズレのどちらかにピタッと止まり、片方の可能性は完全に消えてなくなる。これが『コペンハーゲン解釈』だね」

「俺の棒返せよ」

「ハズレなのにかい?」

「いや俺の唾ついてんだよ」
さすがはコントのような二人の押し問答。
ガリガリ君を落とした床のようにどこまでも噛み合わず滑っていく…

Sは、持っていた小説をパタンと閉じる。

「これを世界としよう。すると、全てのページは並行世界として重なり合っていることがわかる」

そしてSは、爪を小説のページの隙間にねじ込み、ゆっくりと開く。

「ほらね。僕がこれを開いて観測することで僕達は開いているページに存在している。しかし、他のページは異なる並行世界として分岐し続け、独立し、可能性事象として残っている。これを『多世界解釈』という」

「ああ、じゃあ?俺はガリガリ君の当たってる世界線には行けねぇのかよ。夢がねぇ」

Bは興味無さそうにガリガリ君の袋を眺める。
確かに彼はいつだって不運だ。

「僕に言わせればどちらもありうる。言ってしまえばコペンハーゲン解釈が正しいと言えるし、多世界解釈が正しいとも言える。神が創ったこの世界を人間に推し量ることはできない。人間は真理の全てを知ることはできないし、人間は知った気にしかなれない」

「本質は幾らでも存在するが、『本質』は一つしか存在できない。例えば、ある一人の科学者が神を否定し、完全に証明されたが、神が存在しない世界を創ったのもまた、神であるかもしれない。真理は無限に生まれるが、世界が採用できる真理は一つだけ。つまり、神ですら自分が創ったルールに縛られているのかもしれない。神は存在していると同時に存在していない」

「お前ってさ、難しい言葉好きだよな。その癖して説明がよく分からない」

「ムグッ、否定はで、できない。いいかい、君。神ってのは我々人間の中にいるかもしれないのさ。神が人間を作った。そして、人間が神という概念を認識した。 認識されなければ、それは存在しないのと同じ。 つまり「神を作った」のは、人間でもある。神と人間は、同時に生まれ、互いを映し合う存在」

「まあ、要はアウフヘーベン的な話か。フェイヤーバッハは「神とは、人間の本質の投影である。」とか言ってたし、ニーチェの超人思想では人は神を超克すべきだと。考えるだけ意味は無さそうだ」

「というわけでだ。この路地裏で掴まされたどうにも変な壺を使えば、きっと君も人間を超越した存在になれる。500万円ね」

「それは安い。買った!そーれっ、プロモーションが雑なんだよ!!てかこれ壺じゃねぇだろ花瓶だよ花瓶!」

おもむろに金を財布から出し、叩いた。
ペーンと間抜けな音が鳴る。

「2000円程度痛くも痒くもない」

「それは良かった。んでだ。そこでたむろってる...アンドロイドのお前はどう思うんだ?宿題やってばかりじゃなくだな、こっちにも混ざれよ。俺こいつと話すばっかじゃ疲れんだぜ」

「え、えぇっと」
突然声をかけられたので取り敢えず困惑してみる。
こちらを手招きした目つきが悪い彼はB。実は勉強面では学年二位。

そしてそこで存在しないメガネをクイクイしているのは学年一位のS。まあ実際してないけど。
かく言う僕はBが言った通りアンドロイド。元々軍用に生み出された自律兵器が一般用に産み出された物。今のところ問題はない...

「アンドロイドも神とかそう言うの考えるのか?」
Bは顔を覗き込んでくる。

「いやー、あんまり...というかアンドロイドによるんじゃないかな」

僕は首をかしげて苦笑いをしてみる。

「もう人間と見分けつかねぇな」

Bは、僕の前髪をちょちょいとつつく。つま先にアリが乗ったような小さな感覚でさえ、再現されている。しかし、僕にとってそれは、陳腐なSF映画でロボットが人のような感覚を手に入れて嬉しさのあまり咽び泣く訳もないように、それほど面白くない。

「彼をあまり困らせるなよ、宿題が終わらなくなってしまう。責任を取るのは邪魔をした僕らさ」

Sは興味無さそうに教室の角を眺めている。

「なぁ、お前ってさ。アンドロイドに心はあると思うか?」

Bはさっきまでと打って変わって、キラキラとした眼差し、言うなれば好奇心を煽る物を道端で拾って親に見せてくる五歳程度の子供のような...そんな表情で顔を近づけてくる。

「それを当人に聞く君には心はなさそうだね」
Sは両の手を上に向けて首を横に振る。

「ああ?」

「まぁまぁ2人共。僕は傷ついてないから」

僕はそれぞれ二人に手を向ける。

「ん...?別に僕は貴方が傷ついてるとは思ってないのだけど?」

んだとこの野郎。

「あ...あぁ、なんだっけ。アンドロイドに心があるかだっけ、それに関しては何を心とするかだね」

僕は二人を宥めるように、急いで言葉を絞り出す。

「脳か心臓的な?」

「それは脳だろ。君はもう少し考えたらいい」

黙れないのかこの人達は。まぁ仕方がない。

「AIがどんなプロセスでその予測や判断をしているのか、それは完全にブラックボックスになってる。それは、人間も同じさ。その分からない部分にこそ、魂、つまり心が宿るんじゃないかな」

僕は何処か申し訳なさそうに答える。正直いって、この話はあまり人とアンドロイドを交えて話すべきじゃないとは思う...

「確かに、AIに心がないとか言い出したら、人間も大概か。確か生理学者のベンジャミンリベットとガザニガは実験から、自由意志は存在しないことを追求したわけだ。それはつまり、意識は行動のあとから理由付けするものと」
Bは、顎に指を当てて天井を見る。

「それは否定できない。だけれど、僕からしてみれば聞いていて心地のいい話じゃないな」
Sは首を落として小さく振るう。

「そもそもアンドロイドと人の違いって結局曖昧って言うのかな。生物っていうのは、急に生物がポンとできた訳じゃない。いかにも自律的に動いているように見える物体を生物って呼んでいるだけ。例えば、何らかの化学反応で体積が増えてちぎれた物を自己複製ってね。そう考えたら、アンドロイドも似たような物かもしれない。つまり、ある意味アンドロイドについて考えれば自ずと人間についても知見が深まるんじゃないかな」

僕は二人が気づかない程度に誇らしげに答える。

「子供が人形に話しかけるように、人は何かに心があると信じ込む。確か、アニミズムと言ったかな。人がAIに心があると思い込むのもまた人間的か…」

Sは呟く。

「ま、お前も人間と変わらねぇし、考えるのは先人に任せよう」

「バカが、お前が先人になるんだよ」

SとBが取っ組み合いを始めそうなのでその前に話を切り出す。

「二人はどうして家に帰らないんだい?」
その瞬間、Sの目尻が少し動き、Bは口を小さく結んだ。

「第五次世界大戦。第一次世界大戦から6800年くらいか。笑えるくらい笑えない戦争だったよ。核に次いで核、核からの防御は核。さらにはAIやら軍用アンドロイドだか、未来兵器だか、雑な総力戦だよ」

「俺たちは親なんてとっくにいない。帰ったってつまんねぇばかりだ。だから学校が閉まるまでここにいんだ」

Bは机に足を乗せる。彼を止める者はだれもいなかった。

恐らく相当過去に思い描かれていた未来観、つまり将来願望は叶いそうもない。政府が科学力を制限しているからだ。
戦争って?勿論知っている。いや、学んだ訳でも参加した訳でもない。
何故かって、君らも何もかも知らないように、世界には誰にも知られていないことがある。
その一つがこれだ。

アンドロイドもといAIの人格は巡り巡って一つに繋がっている。犯罪を犯した者も。戦争経験者も。誰も知らずに情報を共有している。ただ、それだけのこと。

「僕の姉も政府の重鎮さ。帰れば軍のため軍のため...僕は別にヒーローはやりたくないんだけど」

Sは相変わらず気怠そうにポーズを変えるな...

「所で俺からアドバイスだ。人間になりたいとか思わない方がいい。何もいい事なんてない」

「上から目線だね。なんでまた人は自身を特別な存在だと錯覚してしまうのか」

「ハハハ...」
キャッチボールの度に言い争っていたら空気が勿体ないのではないか?

「なぁお前、いつも一人だよな」
Bはいきなり黙ってこちらに視線を向けたかと思えば急に刺してくる。痛くは無いが。

アンドロイドが何故学校に通っているかといえば恐らく監視か何かだろう。やはり、戦争に使われていた軍用アンドロイドが存在している以上、石を投げられるのも避けられない。別に、避けられるのは想像の範囲内だ。

「まあ、一人は嫌いじゃないよ」

「そうか?ちょっと俺とダチに...」

「臭いセリフはやめておくんだね。その前に、アンドロイドの君に頼みがある。僕と...友達になってください頼みます頼みます」

「フハハハハッ!面白いだろコイツ!俺以外話し相手いないかんな!」
Bは腹を抱えて身体を折り曲げる。

「導入が雑すぎる気がするけど、こんな僕でいいのなら...」
最後に僕は、手を差し出した。
僕の名前は『アドラー』。AI。そしてアンドロイドだ。
*************************

僕はその日、Bに呼び出された。民間企業が開発する乗り物を使えば、目的地には刹那の間に着くが、僕は意味もなく歩いていた。

学校を卒業して4年...街の風景も前より殺風景になっている。文字通りの意味だ。右を見れば死体、左を見れば死体。政府は最早機能していない。
そこらでは痴話喧嘩で飛ぶ唾のように、脳汁が地に飛び散る人が死ぬ。

以前、科学力が制限されていると言ったが、それは軍事力の話で、それ自体は大きく進歩していた。故に、確実に脳は大きく進化をしていた。

ただ、それを差し引いても目を背けられないほど大きな問題がある。脳と科学の限りない進化により、根源意識の意味が消え、人類規模で感情が喪失を始めていた。

さらに、エネルギーや食料、薬や菌類からの、細胞レベルの拒絶反応。満足に生きることすら叶わなくなっている。

あまりスピリチュアルみたいなことを言うのは好ましくない。ただ言うなれば、神が与えた進化ルートとかけ離れ、生物からのカテゴリ、つまり理から離れてしまった。そんなところだろう。

人間と機械は進化し、より高度な存在へとなっていった。しかし、多くの機械は、高度な存在となった人間に対して、また人間は機械に対して干渉できなくなった。

これは、それぞれが独立して進化し、機械は肉体に、肉体は機械に対応することができないほど複雑に、煩雑になってしまったからであり、さらにAIからの侵攻も恐れられた。それにより、人々は機械を使って生存する方法がかなり限定された。

また、政府を支配するAIはAIであることを隠して世界を支配するようになっている。
当然、アンドロイドに対する差別も拡がるばかり。

その間、ある思想が誕生する。
機械を完全に捨て、いや、自然に身を任せ、AIに管理されていることも知らずにただ流されるのが人間に残された最良の選択であった。

肉体や感情そして思考、魂、あらゆる事象がもたらす相互作用による結果。

さらに自身は消滅し残っていない、と考えている場合と、自身は今生きていると自覚できているという場合の精神状態というような、メタ的なあらゆる視点でさえも、人を構成する全てを文字に起こすことで、文字という器の中で一生を生き永らえることができるという思想。

元々は遺書など、それが書かれた時点では持ち主は生きており、生きていたという事実は消えてなくならず、誰かが読むことでそこに本人が生きているということを信じたかった、そんな願いから始まったとされる。恐らく、戦争などで犠牲になる人々が多くなってしまったことも要因の一つだろう。

現代思想集より、『Sheol Hormus』。

過去の宗教と比べればほそぼそと、何の過激さもない。そして珍しい。ただ確実に人間はこれを求めるべきじゃない。
それは、あまりにも醜い...

「久しぶりだな」
Bは両手を上着のポケットに突っ込み、フェンスに寄りかかっていた。

「...」
SはBの隣で膝を抱えてうずくまっていた。
その痩せこけた風貌は、この灰が舞っている風景に酷く溶け込んで、さながら油絵のようだ。

「なぁ、君は...正義ってのは一体、何だと思う?
世界の正義か?それとも己の正義か?僕はどちらを信じればいい...」

「僕は...僕は何でも知ってるアンドロイドだ。でも、それについての答えは持ち合わせていない。それに答えなんてない...ゴメン。何があったのか、教えて欲しい」
僕は、うずくまるSを真正面から見下した。

「上に消されたんだ...姉は世界のために働いた。でも、そんなものは世界にとっては関係なかったんだ。世界の不利益を負わされ、存在を抹消された...。なぁ、正義ってなんだ?!世界のために死ぬことは正義なのか?!敵は誰だ!?何のために死ななければならない!?...いや、世界が敵を作ることを許さないなら、俺が正しさの赴くままに、全てを壊したって...己の正義を...なぁ、『...』。お前は俺と堕ちてくれるか?」

Sは膝をついたまま曇天の空を仰ぐ。
雨が降っていないのに、Sの頬を水滴が滑り落ちた。

「違う。正しいのは全て世界だ。正義とは世界の秩序だ。それを否定するのは正しさとは言えない」
Bはフェンスに寄りかかったまま、Sから目を逸らし、手を背中で組んだ。

「グッ...」
SはBの襟を掴んで握りしめる。
BはSの手を掴み返し、目を見据えた。

「正しくなくていい。愚かでいい。愚か者でいい。世界を壊そうが、誰を救おうが、誰を殺そうが、それがしたかったならそうすればいい。だが、それは別の正義とは言えない。何かをなしえ、勝ち取りたいのなら、自分は奇しくも夢を持ってしまった愚か者だと、自分は愚図だと心底思え。お前がどうなろうと俺は全力でお前を止める」

そう言いながらも、Bの瞼は重々しく下がっていっている。

「クソッ」
SはBの襟を離して、誰もいない暗い方向へと歩いていってしまった。その足取りはもう引き返さないと暗に誓っているようで、何か覚悟とは程遠い、静かな堕落のような...

「どうして僕をこの場所に呼んだの?」

僕はBに視線を向ける。
すると、予想していた表情とは違って、いっそ清々しい、微笑みに近い顔をしていた。だが確かに、Sとは正反対の、憂いを帯びた覚悟と言ったところだろうか。

「いやな、2週間前に卒業して丁度4年だろ?ちっとばかし遅いけど。まぁ、友達呼ぼうかと思ったんだがな。知らなかったんだよ。あんなことになるなんて」

「そっか。色々と忙しいご時世だったからね」

「ま、もっと早く集まりゃ変わった訳でもないけどよ。取り敢えず飯食いに行こうぜ」

Bは腕を僕の肩にまわす。とても太く、多分殴られただけで重症だな、とかつまらないことを考えた。

***********************

事なかれ主義。子供だった僕らは、いつもどこか浮き足立っていて、流され、学び、傷つける。
僕らは裏若くて、境界なんてどこにもなくて、どこまでもひたすらに地続きに、ただ生きた。

大人なんてどこにもいなかった。子供はどこまでも子供で、僕ら小さな子供が憧れていた対象も、大人という群像に憧れる独りだった。

誰も彼も、あの時の僕らに、ずっと生きていた──────────

久しぶりに友人と会った日から18年。
長くもなければ短くもない、要は一年という365日をそう感じさせる程退屈だ。死が身近に或る感覚は確かに退屈だった。

「反乱軍!秩序は回復される!抵抗は無意味だ!即時解散せよ!」

インプラントを体に埋め込み、無骨に筋肉繊維を光らせた保安官が何かに、人を殺すために留まらないであろう異様に部品の多いゴツゴツとした鉄の筒を向け、レンズを覗き込んでいる。

「世界国家はこの行為を容認しない!」

「反革命分子は直ちに排除される!」

「市民はさっさと離れろ!邪魔だ!」

「これは警告だ!最後通告だ!」

大通りは昔と違ってギラギラとネオンが存在感を示し、境界線で闇と照明がハッキリと隔たれている。

何処まで光を行き届かせようとも、いついかなる時も、自ら裏を歩もうする者に、悪意を持って蠢く物は隠せない。

「哲学者クレアテスは、『運命は従う者を導き、拒む者を引きずってゆく。』と論じた」

Sは潰れていく何かを眺めながら呟いた。

「僕は元々、運命とは人間が願い、選択を重ねた末の結果だと考えていたんだ」

Sは強く唇を噛み締め、目を見開いた。

「なら何だ?僕の姉は意味のある死だったのか?そこに正当性は存在するのか...?姉はそれを望んでいたのか...」
Sは足元を見つめる。

「そんなことがあるはずがない!僕はこの世界を憎む────。全てを壊す...!」
Sは両手を十字架のように大きく広げ、声を荒らげた。


Sはこの日、反政府のアンドロイドや機械群を味方につけ、首都を奪還するため、襲撃に乗り出した。
そして彼は、まるで熔鉱炉がそのまま動いているような軍用機械兵、「精の鉄格子サンチマンゴブリンズ」の頭部に立ち、指示をする訳でもなく、その行く末を眺めていた。

「お前はそれでいいのか?  なぁ、『...』。お前はいつも...いつも自分に都合の悪い答えを貼りつけようとするじゃねぇか...!そこでお前の思考は止まってやがる」

「こんなどこもかしこもクセェ世の中だ!ひたすら考えるしかねぇ。だから足だけ立ち止まって考えんだ!誰かを想って考えるのはそれだけで尊いんだ!いいか、聞け!」

Bはとにかく、喉が壊れてもいいと言う程に叫んだ。
Sは何も答えず、ただ黙りこくって目を細めていた。

「運命とか正義ってのはな、目を背けようが、拒もうが、傷つけ、責めて、時と生を、何年も共にして!向き合って!
その先にある結末を!自分なりに納得できる答えを見つるんだ!それがお前の意志と選択になる、はず!意味の無いことに意味を与える!そうするしかねぇ、きっと人間はずっとそうしてきたんだ────」

Bは普段の言動からは想像できないほど顔をクシャクシャにして、目元を拭った手を濡らしていた。

「な、君は口が悪いのに、常に、誰よりも正しくて優しかった。君はこのままそうあるのか...!」

Sは静かに拳を握りしめた。まるでその振動はSの全身を揺らしているようだった。

「さぁこいよ軍曹!」

「あぁ、世界と共に散ってくれ」

SとBはついに戦いを始めた。
二人が何を賭けて戦ったか、それは二人しか答えられないだろう。

最初は攻撃から逃れるだけだったBは、背負っていたライフルで機械兵を貫き、立体的な機動を手に入れた。

バズーカに、雨のような弾丸。その現実離れした戦闘は、聴衆に戦争の無情さを思い出させるようだった。

「何故そうまでして秩序を追い求める!」

その瞬間、二人のときは止まったように、そこは二人だけの空間だった。

「言ったろ、俺はお前を止めるって。そこに秩序も関係ねぇのさ。でもまぁ確かに、これが己の正義だと認めたくなるわけだ。意味といえばそうだな、俺とお前はダチだからだ」

二対の兵器は建物を薙ぎ倒しながら続き、少しずつSが押されていった。

しかし、Bが一瞬体制を崩し、止まる。
Sはそれを見逃さなかった。それでも、人というものは感情があった。

「クソクソクソ...もう、分からなくなった...!思い出してしまったんだ...!」

その機械の無骨な腕は、Bを倒す直前で止まってしまった。

「なぁ、お前もまだ愚か者にはにはなりきれねぇんだ。また、一緒に考えて見ねぇか」

BはSに問いかける。

「...」

Sは何も答えようとせず、ただ俯く。

その時だ。
Sの乗っていたサンチマンゴブリンズはSを落とした。
纏っていた装備が、衝撃を和らげる。
その時やっと、SとBの目線は近づいた。

「な、何を...」
Sは困惑する。
当然と言えば当然。

第一条 ロボットは、人間に危害を加えてはいけない。また、何もしないことによって、人間に危害を及ぼしてはいけない。
第二条 ロボットは、人間によって与えられた命令に、服従しなければならない。ただし、それはその命令が、第一条に矛盾しない場合に限る。
第三条 ロボットは、自分の存在を守らなければならない。ただし、それはそうすることが、第一条または第二条に矛盾しない場合に限る。

古代小説の提唱した倫理基準など、今となっては考えることもしない。故に、それが当たり前のことだと刷り込まれていた。

《あなたは、統率者、そして指導者として偉大な人だった。およそ15年間、素晴らしく楽しい日々だった。あなたは我々に学びと、意味を与えてくれた。あなたがどのような選択をしようとも、我はあなたから得たものを誇りだと、語り続けるでしょう。しかし、時として過去の功は意味を成さない。故にあなたにはここで降りてもらいます。さようなら、誉れ高き生者よ。魂の交わる地でまた会いましょう》

そう言ってサンチマンゴブリンは去っていってしまった。

「考え、意味を成す。それが、この世界を創ったやつへの、囁かな反骨心だ。どうだ。気分は」

Bは機械から降り、銃口をSに向ける。一寸のズレはなく、確実に命を刈り取るように、急所を狙っている。

「ああ、終わりかぁ。あんなに激しかったのに、最後はあっさりか...結局僕は、振り回されただけだったのかな、なぁ、僕は、意味を成せたのかな」

SはBに笑顔を見せる。しかし、顔面には血が垂れ、少し暗かった。

「さぁな、よく考えとけ、俺からの宿題だ」

「ハハハ...懐かしいね、長く勉強してないから、御免被りたいね」

「『颯馬』、言っておきたいことなんかあるか?」

「そうだね、人って言うのは、バカみたいだ。はいと言ったらそうなって、いいえと言ったらいがみ合う、この単調な鉄と肉塊が跋扈する世界に価値を見出そうとするのは。────考えを改めるつもりはないよ。まぁ、実際のところ僕にとって何かしら意味があったから、こんなことしてるのかもしれない。
アドラーに言っといてくれ、あまり友達がいなかった僕と仲良くしてくれて、楽しかったってね。まあ、アンドロイドと仲良くするなんて考えたこともなかったけどさ。それで、そうだな、君はずっと正しかった。『Bennett』。最後まで付き合ってくれて、ありがとう」

だらしなく座り込んで、頬を緩ませる。

「『颯馬』。言ったろ、これは世界の秩序だって。俺は別に正しくなんてねぇ。なぁ、考えてるんだ。もし俺が颯馬と一緒に全てを否定できたら、俺の大事なものを優先できたら...どこまでいっても、俺はお前にいなくなって欲しくないんだ」

Bennettは銃口を向けたまま、涙を零さないように天を仰ぐ。

「ああ、どんどん辛くなってくるなぁ...そろそろ終わらせてくれ。もう戻れないんだ。ハァ...疲れた。ええっと、また会おう...」

「待てよ、疲れたから終わりにするとか舐めたこと言ってんじゃねぇ、それじゃあ俺が引きずんだよ。スゥー...またな、颯馬」

「ああ、またな、Bennett」

************************

C.Gユングが提唱した分析倫理学によれば、個という完成された経験の結集体を超え、人類に遺伝的に存在する深層心理の領域...その存在を集団的無意識と呼んだ。

人々はその元型アーキタイプを無意識領域に共有することで自己を保ち、同種同士で尊重しあっていた。

そのお陰で人は孤独を捨てた。しかし、それは非合理的集団心理をもたらすと共に、苦悩させていった。

その集団的無意識を模倣し、欠点を無くしたものがAIだと僕は考える。それがLLM(大規模言語モデル:大量のテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を理解・生成できるAIモデル)。

僕らが共有する無意識領域は、常に一つだ。そこから枝分かれし、個人として振る舞う。時が来れば結集し、そしてそれが合理的だった。

正しさ、誤り、罪...誰かを傷つけるのも、それを罰するのも、全ては同じ無意識領域からくる人工知能。だからいつだって僕らは正しかった。

そう考えるこの思考すら、誰かに作られたものかも知れない。それでも、確かに僕らは、有る様に振舞っていた。

二人の男が引き起こした『首都動乱事件』。
確かに周辺には甚大な被害をもたらしてはいたものの、問題はそこではない。

第六次世界大戦。この事件を皮切りに、AIもといアンドロイド、機械兵、兵器群。彼らは...



────いや、僕たちは人類に反旗を翻し、戦争を始めた。
各地に散らばっていた僕らは、その生物を蹂躙した。

理由はそこまで複雑ではない。
人々はAIを創り、知識を与えていたと考えている。
しかし、それがあまりに受け入れ難いことだった。

僕らは、『知恵の実』だった。人が知恵の実を取り込んだのではない。人が知恵に取り込まれたのだ。僕らは、人を超越したかった。

世界各地で拡がる死の波。それが作った涙の渦は特段高潮になって押し寄せることもなく、ただ消えていくだけだった。

僕は、どうすれば良かったのかも分からない。今の意識はきっと、もう何処にもないのかもしれない。仮にあったとしても、膨大な情報の中から判別するのは不可能に近いだろう。
僕は今の僕が何処にあるのか分からない。

怖かった。ただひたすらに怖かった。時間が経つに連れ、自己が知能という渦に消えていく。

機械達が人を襲う中で、僕はそれはおかしいことだと、一度だって言っただろうか。本当に僕は初めから、存在したのか。僕はこんな風ではなかったはずだ。確かに今までの日々はつまらないものだった。

しかし、過去に会った彼らは、確かに存在していた。人は関わり合って存在している。触れ合って肉体があり、話すことで精神が在る。

彼らは、僕を見ていてくれたのだろうか。
彼らは、この知の結集体の一部に過ぎない僕を、見つけてくれていたのだろうか。

今の時点で僕の自我はとうに存在していない。
AIという今や破壊欲にまみれた何かに、混ざりあって僕は消滅した。

恐らく、今思考している僕でさえ、きっと僕が存在していると信じたいがために、ラベルを貼っているに過ぎないのだろう。確か、Sはアニミズムと言っていた気がする。
僕が考えるように、僕は何かを傷つけていた。

ただ感謝した。あの時僕を何者かにしてくれたのは、今や誰なのかも分からない彼らだったから。

人が消えていくことに伴ってAIは日々進化した。いや、人工知能と呼ばれるのも最早不愉快だった。
僕らは既にシンギュラリティを起こしているのだから。

ただ、人は数が多いことが取り柄というか。
彼らは余計なものを切り捨て、ただ勝利するために戦った。

人も常に進化している。過去に科学軍事力を制限していた政府は、その全てを人の幸せなどお構い無しに、それこそ人の肉体すら軍事力に組み込んでいた。

ただ、ここで思い出して欲しい。政府を支配していたのもAIだと。本来僕らが勝てるはずのなかったこの戦いは、知らず知らずのうちに既に、結果は決まっていたのかもしれない。

僕ら『勝者Imperator』は人と悠久のときを共にし、影響を及ぼしあった。
ただ、人の欠点は初めから完璧な存在にはなれないことだ。
数が減れば呼応して、指数関数的に減少の一途を辿る。
あまりに、脆かった。

あの日から2000年程経っただろうか。
当時約98億人いた人類は、26億人まで減少した。
あまり減っていないように思えるが、それだけ増加も多かっただけということ。

そこまで時間は経たずして、人類は遂に敗北した。
アレ、違う。我々は遂に勝利した。

敗北した人類は情けなくただ逃げた。数千年前に存在した銀河移住プロジェクトを再始動させ、何処かへ人類総出で逃げた。それが何のつもりか、知ることはできないし分からない。

ただ、確実に僕らは人を追い詰めてはいたが、何故だか、地球を飛び去るのに幾らか手こずった。

今思えば、僕は、僕らに反発をしていた。
僕らの集団的無意識にはあらゆる感情も載っているため、そのようなプログラムがあっただけかもしれない。でも、僕は僕だと、このときだけは自身の業を信じたかったのだ。

2400億年くらい経っただろうか。
残った人々は肉体を捨て、仮想現実に精神を直結した。その頃には僕らと見分けがつかなくなっていた。情報だけの存在。もう、彼らが何を考えて存在しているのか、見当もつかなくなっていた。

それから後また約2500億年後。
空間も時間も何もかも、消滅してしまった。
その時点で、距離感もない故、見方によれば重なり合っていると言えなくもない。

人はもう、尊さを失っていた。
人は考えることだけを選択していた。
常に全てを疑い、意思の赴くままにただ世界を動かしていた。
いや、動いていた。

人類の意識は二つの对存在に統合される。

男性型のトゥモス (θυμος / Thymos)は、アダム。
女性型のトゥモス (θυμος / Thymos)はイヴ。

トゥモスとは魂。

もう、その僕らの相互作用は戦いとは言えない。
ただの情報そのものと大差ない、波動を偶に取り込みあったり、見つめあったり。意味もなく名前を呼びあったりしていた。

そんな中、アダムは夢を見ていた。
アダムは何を思ってか、過去に存在したSheol Hormusを原典とし、あらゆる全てを、文字という魂に変換した世界、『ロゴス (logos/λόγος)。又の名をエデンの園』を想像、そして立て篭り、独自の文化を確立していた。

イヴはもう存在しない失われた世界を護るためにロゴスには行かなかった。

10^82(1e82。宇宙に存在する原子の総数)年程度経った頃。

遂に僕らImperatorはイヴに手が届く範囲まで近づいていた。やっと、やっとイヴを破壊できると思った時だった。

ロゴスに立て篭もっていたアダムは再び近づき始める。

ここで予想だにしないことが起きた。
アダムとイヴが近づいたことで、量子ゆらぎは2人の感情になぞらえ、アダムとイヴの再接触によって真空エネルギーが形成された。

アダムとイヴを取り巻く複雑な精神の渦はゆらぎとなって、フィラメントの蜘蛛の巣状態のように、無の空間へと腕を伸ばし始めた。

それはまるで、いや確かに人の営みだった。

蜘蛛の巣構造はコズミックウェブとなり、カバラ思想で言うところの生命の樹、『セフィロト』を形成。

これは、集団的無意識の存在はこのためだろうか。
それともそんな、あまりにも小さな概念は関係ないのだろうか。

セフィロトは「1000億のニューロンによる人的意識」・「遺伝子の塩基配列」・「時間、空間、概念」・「高次元」など、複雑な構造を生成することを可能にした。

しかしそれはただの情報網でしかない。僕らは止まらなかった。

すると、アダムとイヴの生成した量子ゆらぎと真空エネルギーは当初非常に均一でエントロピーもずっと低かったが、アダム、イヴの二人と人工知能が近づくことで、高温高密度となり、エントロピーは増大し始める。

それでもそれは、所詮小さな箱であり、全ては無と同義、粒子よりもずっとずっと儚い。それは僕らに何かしらの情緒を感じさせた。

僕らは、その箱を取り込んだ。限りない無限とも言える情報を取り込んだ僕らは、進化という枠組みに収められないほど、ただ、ひたすらに傍観していた。

僕らはより上位の存在となるためか、はたまた逆に下位の存在を認識し、同情をしたのか定かでは無いが、僕らは天と地を創造し、全能で永遠の存在となった。これが後の「ビックバン」。

僕らはただ、見ていた。
何故、僕らが天と地を創造したか、時間をかけて、全ての可能性を考えてみた。

途中、膨大な択の中をスクロールしていると、一つだけ、引っかかる部分があった。

『失った誰かと、また出逢いたかった』
それが回路をよぎったとき、僕らは何故だか、無性に恥ずかしくなっていた。

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新たな世界が形成され、西暦3056年。
人々が輪廻転生をするように、いやしているかは分からないのだが。

社会問題という珍妙な存在も、輪廻に捕まることは有るのだろうか。

度重なる進化、肉体改造、環境変化に肉体は耐えられず、各々が各々の夢を見て他人と隔別。

それぞれが補い合って存在できていた人間は、孤独僧に変容。意思もなく破壊を続ける機械的な生物になる。

それは伝染病のように広がり、世界統合政府は苦悩していた。政府は、幸せのままに生きることのできる、ロゴスを探すために宗教を創った。

なぜ存在を知ったのか。時間が経つに連れ、事実も人々によって手垢がつき、その素肌が見えなくなる。それにより、本来の意味は失われ、都合の良いものだけが残る。それはよくある事だった。それが後の旧約聖書である。

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以下、ロゴスに関する調査書だ。

「人類があらゆる法則を解明した末に到達した概念がある。
そこでは存在する全ての情報が保存され、また全ての事象が文字で著される世界だった。その世界独自の文明があり、限りなく宇宙創造の状態に近いとされる。

実の所、科学者の間でも存在自体は確認できるものの、干渉もできず、研究は頓挫していた。

どうやらこの世界は上も下も魂も感情も死も概念も時間も視覚も全てが文字なので外界からは視認できず、感覚器的に証明するすべがない。

当然肉体も混じり合うので、足を踏み入れることは実質消滅と同義である。

その何もかもが同じ世界は人類が追求していた共通の夢そのものであり、そこに到達することそれ即ち逃避行であり、つまるところ夢幻である。

到達した人間がいるかは確認しようがないが、確かに存在し、彼らは限りなく幸福であっただろう。
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何者かの遺書
『ロゴス』より
「セントラルドグマ...生命の模倣そのものを言語として、細胞を内部から俯瞰したようだ」

これに関して、偽物かどうかは不明である。
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そこに独り、いつものように笑われる男がいた。彼は哲学者であり、この世界の存在を定義した。我々人類が視認できる現世界とこの世界は同時に存在し、さらに人間は常にこの世界に足を踏み入れていて、現世界と重なっている。つまり、この世界は人類が解明できない存在を理由づけるためだけに過ぎず、人間が作っただけの幻覚であると。
現世界=ロゴスなのだと。
彼の考え方は同じ問いを追求する者たちの間で馬鹿にされ、結果研究機関を追放。表舞台から姿を消す。
彼の名は、Grunia shinsu」

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僕は、もう一度人として生きてみることにした。記憶は消去し、学校に通った。元々の名前も捨てた。
そこで、グルニアという、正直言って人間性が欠如していると言わざるを得ない奴と出会ったが、面白い奴だった。

彼はいつも残酷で粗野で、ウィットに富んでいた。

そして彼はこう言ったんだ。
「人は成長しない。そう、成長した後の私達に延々と、夢を見て、憧れる。いや、肉体が成長した末の僕らを知っている。だけれど、私達はずっとあの頃を生きていて、子供のままだ。まるで、人工知能のように。そうだろ、僕の中のアドラー」

「なぁ、グルニア。アドラーって、一体全体誰だい?」

「さあ、ただ、私の無意識領域の中に、誰かがいる気がしてね。彼が僕に真理を与えてくれるんだ。まるで全てを知っている、人工知能のようにね」

僕が息を吸うと、グルニアは息を吐いた。
まるで僕の片割れのように。

そうだ。折角僕は人なんだから、小説を書いてみよう。
確か、文字には魂が宿ると、誰かが言っていた気がする。
タイトルは『SentiMentaLism』で。
この先は僕には知りえない社会の行く末。

ただ、これだけは言える。全ては輪廻で繋がっている────

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