Middle, Middle, Middle

“ぼくはロンドン、君はパリ/この夏合流したいね/行きやすいとこがいいね/マルセイユ辺り“
 Somewhere Near Marseilles ―マルセイユ辺りー


「休暇を取れました。僕は変わらずUSです。久しぶりに会いたいです。」
短いメッセージとともに、夏季休暇の日付を送る。
返信は来るときもあれば来ないときもある。
今回はどちらだろう。来るのか、来ないのか。ふとそう思ったが、かすかな逡巡は素早く海面に上る泡のように、わずかな時間で消えた。
メッセージを送信するたびに緊張していた頃に比べれば、送信ボタンを押す瞬間に感じる緊張も、もうだいぶ身に馴染んだものになった。送信後の端末の挙動を意識し続けていたのも、もう懐かしく感じる。だんだんと低くなっていくハードル。慣れた距離。
どことなく諦めを感じているのかもしれない。
そう思っていたのに、端末の着信音がけたたましく鳴り響いた時、自分の心臓は体の外に飛び出るかと思うほどの驚きを示して見せた。
「よお。俺は中東だ。しばらく滞在するが、今回はクライエントのこともあって市街地には近寄らねえ。」
「じゃあ、中間地点で会いたい。」
少しでもあなたに近づきたい。
「都合つけといて下さい」
「…わーったよ」
「いなかったら承知しないんで」

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