21. 白桃烏龍 極品 ヒグラシの声(新ゲです?)

 カナカナと言う鳴き声が少し寂しく感じるのは日本人的感覚なのか。海外だと虫の声って機械の雑音と変わらんって聞くしな。
 夕暮れに沈むファストの町をゆっくりと歩く。特に急ぎの用はないが、この後に待ち合わせがあるため下手に生産に集中するわけにもいかず、こうしてそぞろ歩いているというわけです。たまにはこういうのもいいだろう。
 そんなことを思っているとクゥーンと、哀れな様子で出てきたのは薄汚れたノラ犬。灰色の毛並みはぼさぼさで束になっているし小枝とかも絡まっている。うん、うちの子たちの昔を思い出してつい餌をやってしまった私が悪い。
 モフモフだといいのだが。

「それで別の新しいクエストを拾ってくるからホムラはホムラだよねぇ」
「遺憾の意」

 待ち合わせ相手のペテロに半笑いの笑みで言われてしまった。予定していたクエストは急ぎではないので、どうせならそっちをやろう。と言う申し出をありがたく思いつつ二人で参加したのだが……。

「ホムラ」
「偶然です。偶然」

 目の前で子犬と一緒に立つのは母犬だろう。しかしサラマーってインドの霊獣じゃなかったか?もふらせてくれないだろうか。
 ペテロの生温い眼差しを感じつつ欲望を押さえるのが大変です。
因みに小汚かった野良犬は洗ったら真っ白なモッフモフになって私の腕の中で小首をかしげている。
 

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